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O-28 非典型的画像所見を示した通常型膵癌の一例

伊藤 泰斗1)、赤尾 潤一1)、大塚 奈央1)、長尾 健太1)、田原 純子1)、高山 敬子1)、清水 京子1)、徳重 克年1)、樋口 亮太2)、山本 雅一2)、古川 徹3)
東京女子医科大学 消化器内科1)、東京女子医科大学 消化器外科2)、東北大学大学院 医学系研究科病態形態学分野3)


[症例]60 代女性[現病歴]2018 年3 月に右乳癌に対し術前化学療法を導入され、11 月に右乳房切除が施行された。術前化学療法導入開始時から時折心窩部痛を自覚し、改善ないため2019 年1 月31 日に当科外来を受診した。[検査]造影CT では膵頭部に19mm × 12mm の楕円形の占拠性病変を認めた。内部は均一、辺縁は平滑で造影早期から門脈相では膵実質よりやや造影不良、平衡相ではやや濃染がみられた。EUS では膵頭部に15mm の円形の低エコーSOL が認められた。境界明瞭で辺縁は整で内部エコーはモザイク状であった。ペルフルブタンマイクロバブルによる造影では早期では膵実質と同等の造影効果を持ち、遅延相ではwashout が認められた。画像所見からは神経内分泌腫瘍のほか、乳癌膵転移、漿液性嚢胞性腫瘍、腫瘤形成性膵炎を考え、確定診断のためFNA を施行した。組織診では核の濃染、大小不同を示す異型細胞が管状構造を形成し、免疫染色ではp53 陽性、Ki-67 陽性細胞の増加、CK7 陽性、CK20 陽性、GCDFP-15, ER, PgR 陰性,HER2: score 1+ であった。乳癌の検体ではGCDFP-15 陽性で、HER2: score3+ であり染色性が異なることから原発性膵癌が疑われた。[経過]通常型膵癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。最終病理診断はT1cN0M0 の通常型膵癌であった。画像所見で通常型膵癌の診断が可能であったか議論したい。