室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。


P-51 術前診断が困難であった成人小腸重複腸管の1例

良元 俊昭、島田 光生、吉川 幸造、宮谷 知彦、徳永 卓哉、西 正暁、高須 千絵、柏原 秀也、武原 悠花子
徳島大学 外科学


【はじめに】術前診断に苦慮した腸管重複症の1 例を経験したので報告する。【症例】20 代 女性【現病歴】右下腹部痛ありCT で腸管内に石灰化病変を指摘された。【画像所見】CT で右下腹部の小腸内と思われる部位に、CT 値500HU 程度の構造物を4 個程度認めた。それらは板状、結石状あるいは魚骨様であり、生理的石灰化としては非典型的であり小腸内異物が疑われた。経口小腸透視では、回盲弁から約30㎝口側の回腸に約7㎝の管状構造があり、その先に嚢状拡張部を認めた。CT で認めた石灰化物は指摘されなかった。【手術】回腸Meckel 憩室・憩室内異物疑いで腹腔鏡補助下小腸部分切除術施行。回盲部から30㎝口側の回腸に一方が盲端となった重複腸管を認め、これを切除した。内部に結石を4 個認めた。【病理組織診断】大部分が小腸粘膜で覆われた組織で、一部に異所性胃粘膜様の組織や、リンパ濾胞形成を散在性に認めた。悪性を示唆する所見を認めなかった。【考察】腸管重複症は全消化管にみられる先天奇形で発症率は約0.02% と稀であり、特に回盲部に好発し、腹痛や嘔吐を契機に小児期に発見されることが多い。成人発症の報告例は少なく、術前診断に至ったのは約20% とされる。今回の症例も成人発症であり、腸管重複症に典型的な球状あるいは管状とは異なる所見であったため術前診断に苦慮した。【結語】腸管憩室様病変をみた際には、成人であっても重複腸管の可能性を念頭に置く必要があると考えられた。