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O-01 肺転移を伴った肝類上皮血管内皮腫の一例

鈴木 崇之1),園田 至人1),前田慎太郎1),新井 周華1),新村 兼康1),高橋 知也2),甲嶋 洋平2),李  治平3),安達 章子3)
さいたま赤十字病院 外科1),同 肝胆膵内科2),同 病理診断科3)


症例は30代男性。肺の結節性病変を当院呼吸器内科で経過観察を行っていたが、follow upのCTにて肝に多発する結節性病変を認め当院肝胆膵内科に紹介となった。肝両葉に最大径20mmまでの造影効果に乏しい辺縁整・境界明瞭な腫瘤が多発しており、EOB-MRIではT2WI/DWIで淡い高信号を示したが肝細胞相でのガドキセト酸の取り込みは認めなかった。PET-CT検査も行ったが肺病変はごく淡い集積のみで評価は難しく、肝病変ではS6の腫瘍のみSUV max 4.95の集積を認めた。肝生検も施行したが確定診断に至らず、診断を兼ねた肝切除目的に外科紹介となった。腫瘍は肝両葉にあり肺病変もあるため、診断のつかない状態で完全切除を目指すのは侵襲が大きいと考え、まず肝表面にある7か所の病変に対し腹腔鏡下肝部分切除を施行した。病理組織学的所見では好酸性細胞質を有する類上皮様の腫瘍細胞が類洞内を置換性に進展、所々で腫瘍による肝静脈の閉塞像も認めた。免疫染色ではCD31, CD34, vimentinが陽性であり以上の所見から肝類上皮血管内皮腫と診断された。今後残肝の病変及び肺病変を切除予定である。
稀な症例の切除例であるため病理所見の確認、各種画像診断で挙がる鑑別診断および治療方針に関し検討したい。