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O-02 肝外側区域の腫瘤性病変に対して腹腔鏡下肝切除を施行し、自然壊死を伴う分化度の低い肝細胞癌と診断した一例

大豆生田尚彦,宮戸 秀世,山口 博紀,佐久間康成,川平  洋,堀江 久永,細谷 好則,味村 俊樹,北山 丈二,佐田 尚宏
自治医科大学 消化器一般移植外科


症例は75歳男性。肺非定型抗酸菌症のフォローアップのCT検査で肝外側区域に腫瘤性病変を指摘された。CT検査では造影効果に乏しく、比較的均一な低濃度腫瘤であった。また、MRI検査では病変は複数のconpornentに分かれており、中心部ではT1等~高信号、T2低信号、拡散低下がないのに対し、辺縁部ではT1低信号、T2高信号、拡散低下がみられた。辺縁の拡散低下部位もADC低下はなかった。診断目的に肝生検を施行するも壊死組織のみで診断がつかず、診断・治療目的に外科的切徐を施行した。
病理検査は低分化型癌の診断で、大半は壊死に陥っており組織亜型の確定が困難であった。アルシアンブルー・PAS二重染色で上皮性粘液が認められず、免疫組織化学的にCEAが陰性で、明らかな胆管癌への分化傾向を見出せなかった。
一方で、癌細胞はAFP陰性、OCH1E5陰性であるが、Glypican3に一部陽性を示し、鍍銀染色で肝細胞索を示唆する構造が観察されることから、分化度の低い肝細胞癌の可能性が示唆された。
今回、大半が壊死に陥った肝外側区域の腫瘤性病変に対して、分化度の低い肝細胞癌と診断した一例を経験したため、文献的考察を踏まえて症例報告する。