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O-03 肝原発大細胞神経内分泌癌の1切除例

相澤 栄俊1),野田 弘志1),高橋  洵1),伊関 雅裕1),渡部 文昭1),加藤 高晴1),田中  亨2),力山 敏樹1)
自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科1),自治医科大学附属さいたま医療センター 病理診断科2)


患者は55歳の男性。右季肋部痛を主訴に近医を受診し、腹部超音波検査とCT検査を施行したところ、肝腫瘍を指摘され、精査加療目的に当科紹介となった。腹部CT検査では肝右葉に80mm大の嚢胞性腫瘤を認めた。腫瘤壁に沿って充実成分が存在し、造影効果を伴い内方へ発育する形態を呈していた。腹部MRI検査では肝内胆管と腫瘤の明らかな交通は認めなかった。以上より画像診断では肝粘液性嚢胞腫瘍、嚢胞変性を伴った神経内分泌癌や肝細胞癌等の悪性腫瘍が疑われ、肝右葉切除術を施行した。病理組織学検査では、血管性間質を伴い類円形の異型細胞が充実性に増殖しており、腫瘍の胆管内への発育は強く2次分枝に伸展を認めた。胆管と肝離断面の切除断端は陰性であった。免疫染色でsynaptophysin陽性であり、大細胞神経内分泌癌;large cell neuroendcrine carcinoma(LCNEC)の診断となった。術後経過は良好で術後16日目に退院となった。LCNECは消化管や膵においては報告がみられるが、肝原発は非常に稀であり悪性度が高く予後不良とされている。今回我々は肝原発LCNECの1例を経験したので、文献的考察を加え報告する。
稀な症例であるため病理所見の確認と、画像診断で挙がる鑑別診断およびLCNECとして典型的な画像所見であったかに関して討論したい。