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P-09 Dynamic CT動脈相における肝実質一過性濃染像に着目した黄色肉芽腫性胆嚢炎の画像診断に対する検討

安部 紘生1),永生 高広1),曽我 茂義2),岩崎 寿光1),宮田 陽一1),岡本 耕一1),梶原 由規1),神藤 英二1),辻本 広紀1),上野 秀樹1),岸  庸二1)
防衛医科大学校 外科学講座1),防衛医科大学校 放射線部2)


[背景]黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)は胆嚢炎の一亜型であり、漿膜下層を中心に壁肥厚を呈することが多いため、胆嚢癌との鑑別に苦慮することがあり、XGCの画像診断の正診率の向上が望まれている。[対象と方法]2007年から2017までの間、当院で手術を施行した症例のうち術前Dynamic CT を撮影したXGC 13例、胆嚢癌37例を対象とした。XGCの診断に有用とされている、①漿膜下層を中心とする胆嚢壁肥厚像、②胆嚢粘膜層の連続性保持、③胆嚢壁内に認めるlow density areaの存在、および④動脈相における肝実質一過性濃染像について、各症例の画像所見をXGCと胆嚢癌の鑑別診断について後方視的検討を行い、各画像所見の感度、特異度、正診率について評価した。各所見における正診率は、①漿膜下層を中心とする胆嚢壁肥厚像については68.0%、②胆嚢粘膜層の連続性保持については64.0%、③胆嚢壁内に認めるlow density areaの存在については64.0%、④動脈相における肝実質一過性濃染像については60.0%であった。4つの所見のうち3つ以上の所見を認めた場合にXGCと診断した際、感度 84.6%、特異度 78.4%、正診率 80.0%であった。動脈相における肝実質一過性濃染像を示す症例の病理学的所見の特徴として、壁全層性に広範な線維化を伴っており、接する肝臓にも炎症線維化が波及していた。[結語]XGCの画像診断の特徴として、びまん性胆嚢壁肥厚、胆嚢粘膜層の連続性の保持、胆嚢壁内の低吸収域、造影CT動脈相における肝実質の造影効果の上昇を認め、画像診断上の正診率を向上できる可能性が示唆された。