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P-10 泣き別れ状の肝門部胆管狭窄を呈し良悪性鑑別に難渋した胆嚢頸部腫瘤の1例

大谷 幸博1),伊藤 高章1),中下  学1),岡沢  啓1),永田 博司1),西  知彦2),関  博章2),堂本 英治3)
神奈川県警友会 けいゆう病院 消化器内科1),同 外科2),同 病理診断科3)


症例は60歳代男性.黄疸自覚し近医受診,精査目的に当院紹介受診.受診時採血では,T-Bil6.1mg/dlおよび肝胆道系酵素の上昇を認めた.ほかCEA4.2ng/dl,CA19-9 75U/mlであった.造影CTでは,胆嚢結石と胆嚢頸部に腫瘤影を認め,腫瘤に胆管および右肝動脈,門脈右枝は巻き込まれており,胆嚢癌と肝門部胆管浸潤に伴う閉塞性黄疸と診断した.ERCP施行し,左右胆管および右前後区域枝の泣き別れ状の狭窄を認めた.左枝にEBD右前区にENBDを留置し両葉ドレナージを行い,速やかに減黄された.ENBDからの連続胆汁細胞診を施行し,1回のみclassⅢbを認めた.良悪性鑑別に難渋したため,狭窄部胆管生検および胆嚢頸部腫瘤に対しEUS-FNAを施行するも,同様に悪性所見は認めなかった.門脈塞栓+拡大肝右葉切除術も考慮したが,良性疾患の可能性も残り1ヶ月後に再度ERCPおよび造影CT,PET-CTを施行した.いずれの検査でも悪性所見ないため,開腹下胆嚢摘出/粘膜破壊術を施行した.病理組織学的には,明らかな泡沫細胞は認めなかったが,慢性胆嚢炎の所見であった.現在,初診より約半年経過するも,画像上胆管狭窄は改善し腫瘍マーカーなどの上昇もない.
検討項目①術前診断(当科では黄色肉芽腫性胆嚢炎)②細胞診classⅢbの解釈③術式(当科では開腹下胆嚢摘出術)④最終病理診断,につきご検討お願いいたします.