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P-11 胆嚢原発悪性リンパ腫の一例

山元 勝悟1),入澤 篤志4),澁川 悟朗1),竹中 一央1),中島 勇貴1),舟窪  彰1),吉田 栄継1),牧   匠1),佐藤  愛4),歌野 健一2),北條  洋3)
福島県立医科大学会津医療センター 消化器内科学講座1),福島県立医科大学会津医療センター 放射線科2),福島県立医科大学会津医療センター 病理診断科3),獨協医科大学 消化器内科4)


【症例】70歳台男性【既往歴】前立腺肥大症【現病歴】健診の腹部超音波検査で胆嚢壁肥厚とリンパ節腫大を指摘され,精査・加療目的に当科紹介され受診した.【経過】造影CTでは胆嚢底部に造影効果を伴う壁肥厚を認め,腹腔内には多発リンパ節腫脹を認めた.MRIでは胆嚢底部に壁肥厚がみられ,ADC低値を伴っていた.T2強調画像ではRASの拡張は認めなかった.EUSでは胆嚢底部に7㎜程の比較的強い低エコーに観察される限局性壁肥厚がみられた.粘膜面境界を示すと考えられた1層の高エコーを認め,外側高エコーは保たれ,腫瘍性変化は内腔に発育せず粘膜から粘膜固有筋層・漿膜下層線維層を主座とする病変を考えた.画像としては消化管リンパ腫に類似していた.一方で,胆管周囲に腫大リンパ節が多数みられ,一部は癒合して40㎜弱のリンパ節として観察された.腫大リンパ節に対してEUS-FNAを施行したが診断には至らず,total biopsyとして胆嚢摘出術とリンパ節生検を施行した.病理学的検討では,胆嚢底部を中心に壁肥厚がみられ,上皮から漿膜にかけて異型リンパ球がびまん性に増殖していた.腫瘍の粘膜上皮への浸潤はなかった.免疫染色の結果も併せてT-cell lymphomaと診断した.【考察】上皮性腫瘍以外の胆嚢壁肥厚の鑑別としては,慢性胆嚢炎やIgG4関連疾患による炎症性浮腫や肉腫などが挙がる.本症例ではEUSが病変をよく表していたと考えられた.【討論して頂きたい点】胆嚢原発悪性リンパ腫の画像所見の特徴について.