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P-12 悪性黒色腫胆嚢転移の1例

山田 健太,川嶋 啓揮,大野栄三郎,石川 卓哉,飯田  忠,西尾  亮,鈴木 博貴,植月 康太,八鹿  潤,芳川 昌功,藤城 光弘
名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学


症例は30歳代女性。5年前に右前胸部の悪性黒色腫の手術歴があり、フォロー目的のPET-CTで右腋窩リンパ節と胆嚢に集積を認め当科紹介となった。腹部超音波検査(US)では胆嚢底部に20mm大の輪郭明瞭で表面やや不整な広基性隆起性病変を認め、胆嚢壁外側高エコーが一部内側に牽引されたように観察されたが明らかな断裂は認めなかった。Dynamic CTでは後期動脈相から門脈相にかけて強く造影される腫瘤として描出された。超音波内視鏡検査ではUS同様20mm大の広基性隆起性病変を認め、表面は一層の高エコーに覆われていた。内部は不均一な低エコーを呈し、基部の胆嚢壁は内側低エコーの肥厚と外側高エコーの不整を伴っていた。ソナゾイドによる造影では腫瘤は早期より一様に造影され、後期でも比較的保たれたが表面の高エコー層は造影されなかった。悪性黒色腫の胆嚢転移を疑いDabrafenib/Trametinibを導入し、腹腔鏡下胆嚢摘出術、右腋窩リンパ節郭清術を行った。摘出標本で胆嚢内腔に粘膜から漿膜下層におよぶ隆起性病変を認め、メラニン産生が目立つクロマチンの増加した腫大した異型核を持つ細胞がびまん性に増殖し、悪性黒色腫胆嚢転移と診断した。
悪性黒色腫胆嚢転移は隆起性病変が多いとされるが、壁肥厚性病変の報告もあり形態だけでの鑑別は困難である。血行性転移が多く、粘膜内に生着した転移巣が内腔に向けて腫瘤を形成するとされる。病理組織学的特徴と併せ、画像診断における特徴を議論したい。