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P-15 良性限局性膵管狭窄の1例

岡山 卓史1),大塚 隆生1),渡邉 雄介1),森  泰寿1),池永 直樹1),仲田 興平1),柿原 大輔3),松田 諒太2),古賀  裕2),小田 義直2),中村 雅史1)
九州大学病院 臨床・腫瘍外科1),九州大学病院 形態機能病理学2),九州大学病院 放射線科3)


症例は60歳代、女性。癒着性イレウスの精査中の腹部造影CTで、主膵管が体部で急峻に狭窄し、尾側膵管の拡張を認めた。腫瘤は明らかではなかったが、狭窄部腹側に16mmの嚢胞性病変を認めた。MRIでも主膵管狭窄部に腫瘤は指摘できなかった。EUSでは拡張起始部の膵実質に一部低エコー化領域が疑われたが、再現性に乏しかった。ERCPでは膵体部主膵管にカニ爪様の陰影欠損を認め、上流の膵管は拡張していたが、陰影欠損部で分枝膵管は描出されなかった。膵管擦過細胞診、膵液細胞診ではclass IIの診断であったが、膵癌の可能性が否定できず、腹腔鏡下膵体尾部切除を行った。組織学的には主膵管周囲の線維性結合組織が局所的に増生して膵管上皮を押し上げ、主膵管内腔に突出し、ポリープ様の病変を呈していたが、腫瘍性病変は認めなかった。鑑別診断に苦慮した良性限局性膵管狭窄を経験したため報告する。