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P-16 CTで検出困難であった膵NET-G3の一例

北村 英俊1),肱岡  範1),永塩 美邦1),大場 彬博1),高本 健史2),奈良  聡2),江崎  稔2),奥坂 拓志1),平岡 伸介3),島田 和明2)
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科1),国立がん研究センター中央病院 肝胆膵外科2),国立がん研究センター中央病院 病理診断科3)


【症例】64歳男性。2年前の検診USで膵管拡張を指摘された。PET-CTで膵頭部にSUVmax 3.6の集積を指摘された。精査目的に計11回のCT、MRI、US、EUSを受けるも、病変を指摘し得ず当院に紹介となった。造影CTではやはり病変の指摘は困難であった。MRIでは、T1強調像で膵頭部に低信号域を認め、拡散強調像では同部に拡散制限を認めた。経腹USでは、膵頭部に35mm大の境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた。EUSにて膵鉤部に広がる境界不明瞭な28mm大の低エコー腫瘤と、そこから連続するSMV分枝内に8mm大の腫瘍栓を認めた。ソナゾイド造影では早期より濃染を認めた。形態からは通常型膵癌が疑われたが、血管内進展を来しており、NETや腺房細胞癌を鑑別にあげた。EUS-FNAを施行し、NET G3(Ki67 : 27%)の診断となった。T2N0M0 cStageⅠb(UICC)の術前診断で膵頭十二指腸切除術および門脈楔状切除・再建を施行した。最終病理診断はNET G3(Ki67 : 27%)T3N1M0 pStageⅡb(UICC)であった。術後病理検体では、腫瘍は血管および膵管内を主座として、広範に進展しており、通常のNETのように一つの髄様の腫瘍としての同定は困難であった。
【検討項目】CTなどの画像所見で、何故腫瘍の描出が不明瞭であったのかについてご討議いただきたい。