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P-17 Lynch症候群に合併した膵管内進展を来した膵神経内分泌腫瘍の1例

吉田 栄継1),渋川 悟朗1),竹中 一央1),中島 勇貴1),船窪  彰1),山元 勝悟1),牧   匠1),佐藤  愛4),歌野 健一2),北條  洋3),入澤 篤志4)
福島県立医科大学会津医療センター 消化器内科学講座1),福島県立医科大学会津医療センター 放射線科2),福島県立医科大学会津医療センター 病理診断科3),獨協医科大学 消化器内科4)


【症例】60歳台、男性。【既往歴】40歳 胃癌、64歳 上行結腸癌、Lynch症候群。【現病歴】上行結腸癌術後のため当院大腸・肛門外科で経過を見られていた。X-1年5月に経過観察目的に施行された造影CTで膵体部に腫瘍性病変を指摘され当科紹介受診した。【経過】造影CTでは膵体部に12mm大の多血性腫瘤を認めた。同病変により主膵管は閉塞し尾側膵管の拡張を認めた。SMV周囲にも多血性腫瘤あり、血管内に浸潤していた。ソマトスタチン受容体シンチグラフィではいずれの病変にも集積が認められなかった。PET-CTでは膵体部にSUVmax 5.5の限局性集積が認められた。EUSでは膵体部主膵管内に限局する低エコー腫瘤でありEUS-FNAは困難と判断された。御本人の希望もあり経過観察の方針となり、定期的に画像検査で経過を見られていた。この間腫瘤は徐々に増大傾向が見られた。X年5月に施行されたEUSでは、膵頭体移行部~体部の主膵管内に進展する低エコー腫瘤を認め、体部では腹側の膵実質内に腫瘍が浸潤していた。膵体部の腫瘍に対してEUS-FNAを施行した。病理組織所見は類円形の核を有する円形細胞が集簇しており、Ki-67指数4.2%、核分裂像数0であり、NET(G1or2)と診断した。
一般にp-NETは膵神経内分泌細胞由来であり、被膜を有し圧排性に増殖することから、主膵管内に狭窄や途絶をきたすことや主膵管内へ腫瘍が進展することは稀とされている。
Lynch症候群の患者に発症した膵管内進展を来した膵神経内分泌腫瘍の1例を経験したため報告する。