室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。


P-18 広範な膵管内腫瘍栓を伴い術前診断が困難であった膵神経内分泌腫瘍の1例

桃井  環,比佐 岳史
JA長野厚生連 佐久医療センター


【症例】患者は20代,女性.腹痛精査の前医CTで膵病変を指摘され当科紹介となった.当院で施行したUSでは膵体尾部に径40㎜程度の輪郭不明瞭な低エコー腫瘤を認めた.造影CTにて,腫瘤は乳頭側膵実質と比し,動脈相で乏血性,門脈相で同程度の造影効果を示した.MRIでは腫瘤はT1WIで低信号,T2WIでやや高信号を呈し拡散制限を伴っていた.MRCPで体尾部主膵管は不明瞭であった.EUSでは,膵体尾部低エコー腫瘤は輪郭やや不整で内部は不均一であった.乳頭側膵実質との境界は不明瞭であり,主乳頭から描出した主膵管は膵頸部付近で認識困難となった.画像上,通常型膵癌を疑い膵体尾部切除術を予定した.しかし,術中迅速診断で膵断端に腫瘍を認めたため膵全摘術を施行した.肉眼的には,膵体尾部に66×23×11mmの黄白色腫瘤を認め,腫瘤は頭部主膵管内に充満発育進展していた.組織学的に腫瘤はシート状,リボン状を呈する腫瘍細胞から成り,免疫染色にてchromogranin A. synaptophysin, SSTR2が陽性,Ki67 labeling indexが3.9%であった.最終的に膵神経内分泌腫瘍(G2)と診断した.
【検討事項】術前に組織型および範囲診断が可能であったか.