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P-20 IPMN経過観察中に併存合併した腺扁平上皮癌の1例

黒澤 貴志,石井健太郎,土屋 貴愛,祖父尼 淳,田中 麗奈,殿塚 亮祐,本定 三季,向井俊太郎,山本健次郎,小嶋 啓之,糸井 隆夫
東京医科大学病院 臨床医学系 消化器内科学分野


症例は77歳女性.20XX年6月,近医より膵嚢胞を指摘され当院紹介となった.造影CTでは膵臓は全体に萎縮し,膵頭部から尾側にかけて主膵管の拡張を認め,頭部に15mm大,尾部に5mm以下の多発する嚢胞性病変を認めた.また他,明らかな充実性腫瘤は認めなかった.MRCPではそれぞれの嚢胞性病変は主膵管との交通を認めた.分枝型IPMNとして経過観察されたが,20XX+1年1月CA19-9高値を認め,同年4月EUSが施行された.EUSでは膵尾部に12mm大の輪郭比較的整,一部凹凸を伴った境界明瞭な充実性低エコー腫瘤が観察された.造影では早期から染影され膵実質と比較しisovascularで,また後期相ではhypovascularな腫瘤として描出された.造影CTでは病変は遅延性に不均一に造影される腫瘤として描出された.ERPでは膵体部主膵管の途絶を認めた.EUS-FNAを施行し腺癌の診断となり,IPMN併存膵癌として膵体尾部切除術が行われた.肉眼所見では膵尾部に30×19×18mm大の境界不明瞭な黄白色調の充実性腫瘤を認めた.病理組織所見では腫瘍部は腺癌成分と扁平上皮成分が混在する腺扁平上皮癌であった.主病変より近位側の主膵管内には腫瘍進展を認め,隣接してIPMNが認められた.また病変は膵前方組織および胃壁固有筋層への浸潤を認めた.

討論したいポイント
1.術前に腺扁平上皮癌を指摘できる画像所見はあったか.
2.IPMNとの関連性はあるか.
3.Follow upでいつ指摘し得たか.診断までの期間,ストラテジーに問題はなかったか.?
4.Seedingの可能性について