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P-21 膵印環細胞癌の1例

塩路 和彦1),盛田 景介1),青柳 智也1),栗田  聡1),佐々木俊哉1),小林 正明1),高野 可赴2),野村 達也2),渡邉  玄3),川崎  隆3)
新潟県立がんセンター新潟病院 内科1),新潟県立がんセンター新潟病院 消化器外科2),新潟県立がんセンター新潟病院 病理診断科3)


症例は50代の男性。毎年ドックにて腹部超音波検査を受けていたが2018年の検査では異常を指摘されなかった。2019年7月のドック腹部超音波検査にて膵体部に11mm大の低エコー腫瘤を指摘され当科紹介された。
腹部CTでは膵体部に徐々に造影される12mm大の腫瘤あり、尾側膵管に拡張は認めなかったが浸潤性膵管癌としても矛盾しないと考えられた。腹部MRIでは膵体部に12mmの比較的境界明瞭な腫瘤性病変を認め、T1WI低信号、T2WI高信号を呈し、DWIでも高信号として描出された。dynamic造影ではCTと同様に漸増性に造影増強効果が認められた。腫瘤内に小さな嚢胞部分が混在しておりNETやSPNも鑑別にあがった。EUSでは15mm大の膵実質よりわずかに低エコーの腫瘤を認めた。浸潤性膵管癌にしてはエコーレベルが高く、輪郭が整で、内部に小さな無エコー域も認めたことからNETや腺房細胞癌など浸潤性膵管癌とは異なる特殊型の膵癌を疑った。EUS-FNAも可能であったが、早期の切除を希望されたため、画像診断のみで膵体尾部切除を施行した。
病理では浸潤性膵管癌で組織型がsignet ring cell carcinoma with mucinous componentと診断された。
術前診断で境界が比較的明瞭でエコーレベルも高かったため、通常の浸潤性膵管癌としては非典型的でNETや腺房細胞癌を鑑別にあげた。組織型が印環細胞癌であったため通常とは異なる画像所見を呈したのか、画像所見としては浸潤性膵管癌としてのバリエーションの範囲内と考えた方がよかったのかご教授いただきたい。