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P-23 好酸球浸潤を伴う膵lymphoepithelial cystの1例

高橋  遍1),木村 暁史1),小倉 俊郎1),網倉 克己1),神田 浩明2),川島 吉之1),坂本 裕彦1)
埼玉県立がんセンター 消化器外科1),埼玉県立がんセンター 病理診断科2)


症例は55歳男性.2014年に健診の腹部USにて膵頭部に25㎜大の腫瘤を指摘され、経過観察となった.2017年1月に心窩部痛を主訴に近医を受診し、腫瘍の増大を認め当科紹介となった.身体所見では心窩部に軽度の自発痛を認めるが、血液/生化学所見にて特記所見なし.造影CTにて膵頭部に46×37㎜大の境界明瞭な腫瘍を認め、被膜様構造を有し周囲脈管や臓器を圧迫するものの浸潤所見は認めず、内部は軽度の造影効果を伴う充実性成分と嚢胞性成分が混在する所見であった.造影MRI/MRCPでは主膵管は腫瘍の圧迫により蛇行するが、拡張を認めなかった.病変内部は不均一な信号パターンを呈し、T2WI高信号領域を中心としてDWIにて拡散低下を認めた.腹部US/EUSでは内部エコー不均一な腫瘍として描出され、明らかな血流信号を認めなかった.以上より、病変内の充実性成分が優位かつ増大傾向であり、P-NETやSPNなどの可能性も考慮し手術を行った.病理組織学的には嚢胞が豊富なリンパ間質を有する重層扁平上皮で被覆されており、内部にはケラチン様物質を認め、膵lymphoepithelial cystと診断した.本症例では腫瘍内に強い好酸球浸潤を伴っている点が特徴的であり、非病変部においても小範囲に好酸球浸潤を認めた。この所見を含め、病理学的診断と術前診断についてご検討頂きたい.