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P-27 分枝膵管型IPMAに併存した小IPMCの一例

水口 貴仁1),永島 一憲1),井澤 直哉1),岩崎 茉莉1),陣内 秀仁1),山部  茜1),土田 幸平1),入澤 篤志1),磯  幸博2),窪田 敬一2),黒田  一3)
獨協医科大学病院 内科学(消化器)講座1),獨協医科大学病院 第二外科2),獨協医科大学病院 病理診断科3)


症例は70歳台女性。2011年よりIPMNの診断にて定期的に画像検査にて経過観察を行われていたが、膵頭部の嚢胞が増大傾向を認め、精査目的に当院へ紹介受診された。血液生化学検査では特記所見は認められなかった。CT検査では膵頭部に最大径25mm大の多房性嚢胞を認めたが、嚢胞内にあきらかな充実成分は指摘されなかった。MRIでも同様の所見であり尾側膵管の拡張も認められなかった。EUSでも多房性嚢胞内に充実成分は指摘得なかったが、嚢胞のやや乳頭部側に9mm大の境界明瞭で内部に壁在結節を伴う低エコーの充実性腫瘤を認め、限局的に膵管の拡張を認めた。EUS-FNAにてmaspin(+)p53(+)のAdenocarcinomaが検出され、IPMNに合併した膵頭部癌の診断にて膵頭十二指腸切除術を施行された。切除標本では多房性嚢胞は粘液産生のある乳頭増生した異型細胞によって裏打ちされているが、細胞異型に乏しく、IPMAの像と考えられた。乳頭部側に認めた充実性腫瘤は黄白色の充実性病変であり、同結節内に部分的に粘液性成分の貯留のある嚢胞性病変も認めた。組織学的に拡張した膵管内から乳頭状に発育する異型膵管であり高度異型を認められた。したがって多房性嚢胞病変と充実性腫瘍は一元的な腫瘍で、膵管内を進展した腺腫が膵辺縁の分枝膵管にて癌化したと推測された。討論いただきたいこと・IPMAと小IPMCの関連について