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P-32 胆管癌術後の異時性膵頭部癌が疑われた1例

湯浅 憲章1),安部 智之2),小野 道洋2),前田 征洋2),仙丸 直人3),藤田 美悧4)
製鉄記念室蘭病院 放射線科1),製鉄記念室蘭病院 消化器・血液腫瘍内科2),製鉄記念室蘭病院 外科3),製鉄記念室蘭病院 病理臨床検査室4)


【はじめに】胆管癌と膵癌の同時性や異時性重複癌が稀に報告されているが、今回我々は胆管癌術後約1年7か月に膵頭部癌を発症し切除された1例を経験した。【症例】60歳代、男性。【現病歴】黄疸(T-Bil 9.3 mg/dl)など肝障害を機に肝門部領域(上部)胆管癌を指摘されたが、造影CTでは胆嚢管合流部に充実性腫瘤を認め右肝動脈浸潤も否定できず、MRCPでも同部に描出欠損および肝内胆管拡張、膵体部で分枝型IPMNを認め主膵管も5.3mmと軽度拡張を認めた。膵胆管合流異常は無かった。内視鏡的減黄および門脈右枝塞栓後に肝右葉切除・胆管空腸吻合・肝外胆管切除が施行されたが、術中迅速診断で遠位胆管断端癌陽性(表層拡大進展)と診断されたので膵内胆管まで切離を要し3回目で断端陰性確認しR0切除を得た。神経叢や胆嚢管壁浸潤を認めたが右肝動脈への浸潤は見られなかった。病理所見はBp+Bd, flat-infiltration type, 2.5×1.5cm, tubular adenocarcinoma, moderately differentiated type, tub2, T2a, N0(0/9), pStage IIであった。11か月後のCTで膵頭部に9mmの嚢胞を認めた、さらに6か月後のCTで同部に10mmの充実性陰影が出現し尾側膵管拡張も増強、さらに約40日後のCTで13mmと増大しEUS-FNAでmoderately differentiated tubular adenocarcinoma(tub2)と診断され、亜全胃温存膵頭十二指腸切除(SSPPD)が施行された。病理結果はInvasive ductal carcinoma, tub2, TS2(3×2.8×2cm), mixed type(nodular and infiltrative type), pT3, pN1(total 2/13)であった。2回目手術より9か月以降、肝門部再発を機に黄疸や胆管炎をきたし予後不良の転帰となった。【討論希望ポイント】異時性重複癌で良いのか。初回手術時の膵内胆管表層拡大進展との関連有無など。