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P-33 膵神経内分泌腫瘍の術前診断にて膵頭十二指腸切除を施行したparagangliomaの1例

池田 未緒1),三浦  晋1),菅野  敦1),滝川 哲也1),川口  桂2),元井 冬彦2),海野 倫明2),大森 優子3),古川  徹3),正宗  淳1)
東北大学大学院 消化器病態学分野1),東北大学大学院 消化器外科学分野2),東北大学大学院 病理病態学分野3)


【症例】64歳女性【主訴】なし【既往歴】高血圧の既往なし【現病歴】2017年12月肝機能障害精査のため施行したCT検査にて膵頭部腫瘤を指摘され、当院へ紹介された。【経過】血液生化学検査で膵酵素や腫瘍マーカーは正常であった。造影CT検査では膵頭部領域に29 mm大の類円型で造影効果を伴う多血性腫瘍を認め、MRIではT1低信号、T2高信号を呈していた。EUSでは境界明瞭で内部均一な低エコー腫瘤として描出された。膵神経内分泌腫瘍(PNEN)を疑い、EUS-FNAを施行した。病理組織では異型細胞が胞巣状に増殖しており、Chromogranin A, Synaptophysin, CD56が陽性でPNENと診断した。2018年9月に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が施行された。術後の病理組織では、腫瘤は遠位胆管背側を主座に膵実質へ半周性に接していた。病変内部では紡錘形異型細胞が胞巣状に増殖し血管間質分画するzellballen patternを呈していた。免疫染色ではChromogranin A, Synaptophysin、CD56陽性で、AE1/AE3弱陽性であり、S-100陽性の支持細胞を認めた。膵島ホルモンはsomatostatinのみ陽性だった。AE1/AE3や膵島ホルモンの発現に乏しく、膵外腫瘍と考えられparaganglioma(PG)と最終診断した。【考察】本症例では幸い偶発症は認めなかったが、PGは侵襲処置に伴う急激な血圧上昇や不整脈出現が報告されており正確な診断が求められる。しかし、EUS-FNA検体では特徴的所見であるzellballen patternやS-100陽性支持細胞が同定困難で、画像所見もPNENと類似していた。膵と接するPGの術前診断はPNENとの鑑別が困難であり示唆に富む1例と考え報告する。