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O-1 肝内胆管癌との術前鑑別が困難であった大腸癌肝転移の一例

尭天 一亨,早崎 碧泉,藤井 武宏,飯澤 祐介,村田 泰洋,種村 彰洋,
栗山 直久,岸和田昌之,櫻井 洋至,水野 修吾
三重大学肝胆膵・移植外科


転移性肝癌の胆管浸潤は比較的稀である。今回、胆管内進展を伴った結腸癌肝転移症例を経験したため報告する。
53歳男性。上行結腸癌(pT3N1M0,fStageIIIB)、胆嚢結石に対して、他院にて右半結腸切除、胆嚢摘出術後、補助化学療法としてmFOLFOX6を完遂した。術後4年目のCTにてB8の限局性胆管拡張を認め、経過観察でも増悪傾向を認めたため、精査加療目的に当院を紹介受診された。CT、MRIでは、S8の肝皮膜下に最大径18mmの腫瘤がB8の限局性拡張部位と連続しており、拡張したB8内部にも腫瘤を疑う所見を認めた。ERCPでは右胆管から総胆管にかけ透亮像を認めたが、EST時に乳頭から胆泥の排泄を認め、バルーンで胆管内を掻破し、総胆管の透亮像は消失した。SpyGlassにて胆管内を観察したところ、B8の根部近傍から抹消にかけ乳頭状隆起を認め、生検にて乳頭腺癌が検出された。大腸癌の既往はあるものの、画像診断から胆管内進展を伴った肝内胆管癌の診断で、根治切除のために前区域切除術を施行した(手術時間447分、出血1545ml)。切除標本では、肝漿膜近傍には20 x 18 x 13 mmの黄白色多結節性病変を認め、胆管内にも連続する形で細胞質内粘液を有する異型細胞が不整管状、乳頭状増植を示し、多量の粘液を産生しており、既往の結腸癌の組織像と類似していたため、結腸癌の転移と診断された。