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O-4 多彩な画像所見を呈し腫瘤指摘・術前診断が困難であった自己免疫性膵炎合併膵管癌の1例

佐上 亮太1,2),錦織 英史1),辻  博晶1),佐藤 孝生1)
佐藤 啓司1),藤原 省三3),阿南 勝宏3),駄阿  勉4),村上 和成5)
大分三愛メディカルセンター消化器内科1),大分大学医学系研究科2)
大分三愛メディカルセンター外科3),大分大学医学部附属病院病理診断科4)
大分大学医学部附属病院消化器内科5)


症例は76歳男性.1週間継続する食後心窩部痛を主訴に受診し,腹部単純CTで膵体部に主膵管拡張を認めた.造影CTでは膵管拡張頭側に明らかな腫瘤を指摘できず,膵体尾部を中心に膵周囲脂肪織濃度の軽度上昇を認めた.MRIでも明らかな腫瘤を指摘出来ず,MRCPでは膵管拡張頭側に2か所の膵管狭窄様所見を認めた.EUSでは膵体部に内部低・高エコーが散在する20mm大の腫瘤を認めた.病変頭尾側膵実質には点・索状高エコーを認めるが,明らかな分葉所見を認めなかった.造影EUSでは腫瘤は膵実質と同様に造影された後に造影不良域が一部点在する所見であった.ERPでは膵体部膵管に2か所の狭窄・途絶を認め,連続膵液細胞診では5/6でclassIIIであったが良悪鑑別が困難であった.血液検査ではCEA/エラスターゼ軽度高値,IgG4:498mg/dlと高値であった.EUS-FNABを2回施行するも,確定診断に至らなかった.患者希望で2ヵ月のステロイド投与後にEUSで評価するも腫瘤縮小はなく,限局性AIPと悪性腫瘍の鑑別が困難なことから,膵体尾部切除術を施行した.切除検体の病理は豊富な線維性間質を背景として核腫大を有する異型細胞が散在性に増殖する,径24mmの浸潤癌であった.背景膵にはリンパ球・形質細胞浸潤,花筵様線維化,閉塞性静脈炎を認め,IgG陽性細胞は67個/hpfであった.AIPを背景とした膵管癌T2N0M0 p-stageIBの診断となった.
【要望事項】造影CT,MRIでの腫瘍指摘困難,EUS画像と病理像の比較検討.