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O-6 自己免疫性膵炎を背景に発生したMiNENの1例

池田 未緒1),滝川 哲也1),濱田  晋1),菊田 和宏1),粂   潔1)
海野 倫明2),廣瀬 勝也3),大森 優子3),古川  徹3),正宗  淳1)
東北大学大学院消化器病態学分野1),東北大学大学院消化器外科学分野2)
東北大学大学院病態病理学分野3)


症例は74歳男性。2014年に自己免疫性膵炎(AIP)、IgG4硬化性胆管炎の診断でステロイドを導入し以後維持療法をしていた。2019年EUSにて膵尾部腫瘤を指摘された。造影CTでは膵尾部に境界不明瞭な8mm大の腫瘤を認め、造影早期相でまだらな濃染を示した。MRIではT1WIやや低信号、T2WI等信号であり、MRCPでびまん性主膵管狭細および分枝膵管拡張を認めた。EUSでは高低エコーが混在し、造影にて不均一な造影効果を示した。腫瘤に対しEUS-FNAを施行し、膵神経内分泌腫瘍(PanNEN)G2の診断となった。当院外科にて膵体尾部切除術が施行され、肉眼所見では膵尾部に径7 mmの調結節性病変を認め病変は一部主膵管内に存在していた。組織所見では類円形核を有する異型細胞が胞巣状増殖し、同一腫瘍内に泡沫状の胞体を有する腫瘍細胞が混在していた。前者はPanNEN、後者は腺系分化した腫瘍細胞と考えられた。共に高異型度の成分は認めなかった。腫瘍は全体にsynaptophysin陽性で、chromogranin AはPanNEN部分で陽性、腺系部分で陰性、CK19はPanNEN部分で陰性~陽性が混在、腺系部分で陽性であった。以上からMixed-endocrine-non-endocrine neoplasm(MiNEN)と診断した。膵MiNENにおいてPanNEN、腺系成分がともに低異型度であることは稀である。本症例はAIPを背景にMiNENが発生している点も特徴的である。MiNENの発生形態やAIPの関与、術前診断の可能性について病理・画像両観点からご討議いただきたい。