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O-8 膵Mixed neuroendocrine-nonneuroendocrine neoplasm(MiNEN)の1切除例

宮本 和明1),越田 真介1),菅野 良秀1),小川 貴央1),楠瀬 寛顕1),酒井 利隆1),及川 昌也2),澤井 高志3),野田  裕1),伊藤  啓1)
仙台市医療センター仙台オープン病院消化管・肝胆膵内科1),仙台市医療センター仙台オープン病院消化器外科・一般外科 2),仙台市医療センター仙台オープン病院病理部3)


症例は70歳男性.健診の腹部USで膵体部腫瘤を認め,精査目的に当科紹介となった.腹部USでは,膵体部に15mmの境界明瞭で辺縁不整な低エコー腫瘤を認めた.腹部造影CTでは,指摘の膵腫瘤の辺縁は早期相から濃染し,内部は遅延性に淡い造影効果を認めた.MRIでは,腫瘤はT2WIで高信号,T1WIで低信号,DWIで拡散能の低下を認め,MRCPで同腫瘤部における主膵管狭窄と尾側の主膵管拡張を認めた.EUSでは,腫瘤は比較的境界明瞭な低エコー腫瘤として描出され,ソナゾイド造影にて腫瘤は早期から均一に淡く造影され,造影効果は周囲膵実質より長時間みられた.画像検査からは悪性の膵腫瘍を疑ったが,通常の膵管癌としては非典型な造影態度であった.EUS-FNAを提案したが希望されず,膵体尾部切除術を施行した.切除膵標本の組織像では,腫瘤内部は壊死を伴い,腫瘤辺縁を中心に小型円型核と好酸性の細胞質を持つ異型細胞が密集しており,特殊染色所見も含めて神経内分泌腫瘍と診断した.腫瘍辺縁と所属リンパ節に腺癌(tub1)を認め,最終的にMixed neuroendocrine-nonneuroendocrine neoplasm(MiNEN),pT2,pM0,pN1,pStageIIBと診断した.腺癌成分のリンパ節転移所見からS-1内服による術後補助化学療法を行ったが,開始2ヶ月後の造影CTにて肝転移及び残膵再発が疑われ,経皮的肝腫瘍生検でneuroendocrine carcinomaと組織診断した.術前の画像検査からどこまで術後診断に迫れるかご討議いただきたい.