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67歳女性 6か月から軽度の心窩部痛があり当院紹介受診した.来院時腹痛は消失していたが,血液検査にてT-bil 0.7 mg/dL,AST 547 U/L,ALT 432 U/L,ALP 703 U/Lと肝胆道系酵素上昇を認めた.血清IgG4,CEA,CA19-9は正常範囲内であった.造影CTにて遠位胆管に造影効果を伴う不整な全周性壁肥厚および胆管狭窄があり上流胆管は拡張し,肝門部胆管まで軽度の壁肥厚が連続していた.遠位胆管病変は,MRI拡散強調画像で高信号,PET CTにてFDGの高集積を認めた.超音波内視鏡では遠位胆管壁は壁構造を保って著明に肥厚していた.ERCPにて胆管開口部は開大し,胆管内は粘液が充満していた.乳頭切開にて大量の粘液が排出された.胆管生検では炎症性肉芽組織を認め,細胞診では腺癌を疑う異型細胞集塊を認めた.粘液産生を伴う遠位胆管癌の術前診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.手術検体の病理にて肥厚した胆管壁には形質細胞とリンパ球主体の高度の慢性炎症細胞浸潤と軽度の線維化があり,胆管上皮は大部分が脱落しており,残存上皮には軽度異形成を認めるのみであった.非特異的な慢性胆管炎と診断した.術後2年が経過しているが,再発なく外来通院中である.粘液産生を伴う胆管病変はIPNBや粘液癌が知られているが,本症例の病理組織では胆管付属腺の軽度拡張を認めるものの,大量粘液排出を裏付ける所見は得られなかった.本症例の病理所見および画像所見について腫瘍,非腫瘍を含めて討論いただきたい.
O-10 大量の粘液排出を認めた非特異的慢性胆管炎の1切除例
寺田 修三1),松田 昌範1),佐藤 辰宣,1),遠藤 伸也1),村松 彩2),金本 秀行3),川口 真矢1)
静岡県立総合病院消化器内科1),静岡県立総合病院病理診断科2),静岡県立総合病院肝胆膵外科3)
67歳女性 6か月から軽度の心窩部痛があり当院紹介受診した.来院時腹痛は消失していたが,血液検査にてT-bil 0.7 mg/dL,AST 547 U/L,ALT 432 U/L,ALP 703 U/Lと肝胆道系酵素上昇を認めた.血清IgG4,CEA,CA19-9は正常範囲内であった.造影CTにて遠位胆管に造影効果を伴う不整な全周性壁肥厚および胆管狭窄があり上流胆管は拡張し,肝門部胆管まで軽度の壁肥厚が連続していた.遠位胆管病変は,MRI拡散強調画像で高信号,PET CTにてFDGの高集積を認めた.超音波内視鏡では遠位胆管壁は壁構造を保って著明に肥厚していた.ERCPにて胆管開口部は開大し,胆管内は粘液が充満していた.乳頭切開にて大量の粘液が排出された.胆管生検では炎症性肉芽組織を認め,細胞診では腺癌を疑う異型細胞集塊を認めた.粘液産生を伴う遠位胆管癌の術前診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.手術検体の病理にて肥厚した胆管壁には形質細胞とリンパ球主体の高度の慢性炎症細胞浸潤と軽度の線維化があり,胆管上皮は大部分が脱落しており,残存上皮には軽度異形成を認めるのみであった.非特異的な慢性胆管炎と診断した.術後2年が経過しているが,再発なく外来通院中である.粘液産生を伴う胆管病変はIPNBや粘液癌が知られているが,本症例の病理組織では胆管付属腺の軽度拡張を認めるものの,大量粘液排出を裏付ける所見は得られなかった.本症例の病理所見および画像所見について腫瘍,非腫瘍を含めて討論いただきたい.
