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O-11 広範な胆管内進展をきたした肝内胆管腫瘍の1例

藤井 佑樹1),松本 和幸1),吉田 龍一2),都地 友紘3),田中 健大3),小川 泰司1),山崎 辰洋1),堀口  繁1),加藤 博也1),岡田 裕之1)
岡山大学病院消化器内科1),岡山大学病院肝胆膵外科2)
岡山大学病院第2病理学3)


症例は77歳女性.心窩部痛を主訴に前医を受診し、CTで肝内胆管腫瘤を指摘され当院に紹介となった。造影CTではS5末梢に12mm大の辺縁に不均一な造影効果を有する腫瘤を認め、同腫瘤から右肝管まで連続する淡い造影効果を有する胆管内腫瘤を認めた。MRIでは肝内胆管腫瘤はT1WI低信号、T2WI軽度高信号、DWIで拡散能の低下を認めた。ERCでは右肝管根部に類縁形の陰影欠損を認め、IDUSでは右肝管腫瘤の左肝管及び総胆管への進展は認めなかった。胆道鏡では右肝管根部に表面平滑な腫瘍が突出しており、腫瘍部からの生検は腺癌であった。S5末梢の腫瘍が広範な胆管内腫瘍栓を形成したと診断し、根治性を考え拡大肝右葉切除を選択した。切除標本の肉眼像ではS5末梢に白色の不整形腫瘤を認め、同病変からB5を介して右肝管まで広範囲の胆管内に連続した褐色腫瘤を伴っていた。組織像ではS5末梢の白色腫瘤部は形態不整な腺管構造を呈する中分化型腺癌で、B5~右肝管の広範囲に及ぶ腫瘍栓を伴っていた。肝門部領域からの腫瘍性病変の発生を示唆する所見は認めなかった。最終的にS5を主座とした広範囲胆管内進展を伴う胆管浸潤型の肝内胆管癌pT2,pN0,pM0,pStageIIと診断した。本症例では腫瘍の増殖形態から広範な胆管進展を伴う胆管浸潤型と診断したが、病理学的に胆管進展を来しやすい要素があるか、またCT・MRI画像から右肝管内腫瘤がS5末梢の肝内胆管癌由来の腫瘍栓と診断可能かご討議頂きたい。