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O-12 Intracholecystic papillary neoplasm(ICPN)合併重複胆嚢の一例

村嶋 佑美1,2,3),肱岡  範1),丸木 雄太1),大場 彬博1)
永塩 美邦1),森實 千種1),平岡 伸介2),高本 健史3),江崎  稔3)
奥坂 拓志1)
国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科1),国立がん研究センター中央病院病理診断科2),国立がん研究センター中央病院肝胆膵外科3)


症例は80歳代女性。3年前から内部に結節を有する肝嚢胞性病変を指摘されており、結節が増大傾向のため精査加療目的で当院紹介となった。CTでは、肝S4/5から肝下面に突出する50mm大の単房性嚢胞性病変を認め、総肝管と交通を認めた。嚢胞内部には早期動脈相で造影効果を伴う隆起性病変を2カ所認めた。この隆起性病変はMRIでT1WI等信号、T2WI低信号を呈しており、EUSでは表面乳頭状、有茎性で、ソナゾイド造影では不均一な淡い造影効果を呈しており、肝実質への浸潤は認めなかった。以上から胆管と交通を有する肝嚢胞性腫瘍を疑い、進展範囲診断目的でERCおよびPOCSを施行した。ERCで総肝管から連続して嚢胞性病変が描出された。POCSでは、嚢胞内にIp型乳頭状隆起性病変を認め、嚢胞内の周囲粘膜や胆管内には腫瘍進展は認めなかった。明らかな粘液貯留は確認できなかった。POCS下生検で乳頭腺癌の診断を得た。以上より肝嚢胞と考えていた構造物は副胆嚢で、重複胆嚢に発生した乳頭腺癌を念頭に、拡大胆嚢摘出術を施行した。病理組織では、嚢胞性病変は、平滑筋を含む3層構造を認め胆嚢に矛盾しなかった。また、隆起性病変および粘膜広範囲にnon-invasive adenocarcinomaを認めたが、胆管への進展は認めなかった。この嚢胞性病変より下流に主胆嚢を認めており、同様の平滑筋を含む三層構造で、悪性所見は認めなかった。以上より重複胆嚢(副胆嚢)に合併したICPNと診断した。