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O-15 膵上皮内癌術後7年目に発症した膵野型早期膵癌の1例

吉川 成一1),竹内  学1),皆川 昌弘2),谷  達夫2),谷  由子3),薄田 浩幸4)
長岡赤十字病院消化器内科1),長岡赤十字病院外科2)
長岡赤十字病院放射線科3),長岡赤十字病院病理診断科4)


【症例】50歳代,女性.X-7年2月に膵管癒合不全に合併した膵上皮内癌に対して膵尾部切除を施行した.X-7年9月のMRIにて膵頭部前縁に楔状の遷延性に造影される領域がみられ,X-6年6月のMRにて同部位にスリット状のくびれが生じたが,EUS・ERCPでは明らかな異常所見は確認できなかった.X-2年12月のMRIにてもスリット状の遅延性造影がみられ,EUSにて10mm大の内部に線状のやや高エコーを有する淡い低エコー領域が見られた.X-1年3月のEUSでは6mm大の低エコー腫瘤がみられ,同年3月と4月にFNAを行うも悪性所見は見られなかった.X-1年9月のMRIにて主膵管狭窄が出現し,X年1月と2月のMRI・CTにてスリット部に5mm大の造影不良域が出現.同年2月のEUSでは8mm大の低エコー腫瘤がみられ,FNAにてadenocarcinomaと診断,残膵全摘を施行した.膵実質に8mm大の線維成分が豊富な中分化型腺癌がみられ主膵管周囲まで浸潤がみられたが,主膵管には正常の膵管上皮が残存しており膵野型膵癌と考えられた.リンパ節転移がみられたが,術後補助化学療法を開始し,現在再発はみられていない.【検討項目】膵野型膵癌が発症する7年前より膵実質に楔状の変化やスリット状のくびれが見られており,このような変化が膵野型膵癌の間接所見といえるかご検討いただきたく症例を提示させていただきます.