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O-17 SCNの経過観察中に出現した早期膵癌の1例

大畠 昭彦1,2),安田 和世2),吉井 重人1),景岡 正信1)
寺井 智宏1),榎田 浩平1),星野 弘典1),稲垣 圭佑1)
佐藤 大輝1),丸山 保彦1)
藤枝市立総合病院消化器内科1),藤枝市立総合病院病理診断科2)


【症例】70歳代、女性。
膵尾部のSCNに対して6ヶ月毎の画像followを行っていた。12年経過し膵体部の膵管の拡張と拡張膵管の頭部側の膵委縮が増悪してきたため精査となった。
【画像】MRCPでは膵尾部に40mm弱の多房性嚢胞を認め、膵体部の膵管は軽度拡張を認めた。CTでは尾部の多房性嚢胞の中心に石灰化を認め、嚢胞内部に造影される結節はなく、膵体部に膵委縮を認めた。EUSでは膵尾部の多房性嚢胞は中心瘢痕を認め、内部に結節は見られなかった。膵管は拡張部から非拡張部まで連続して観察され、膵管非拡張部周囲実質の委縮を認めた。ERPでは膵管拡張と非拡張部の境界に狭窄を認めた。
膵液連続細胞診でadenocarcinomaの診断であった。
SCNに合併した早期膵癌の診断で膵体尾部切除を施行した。
【病理】狭窄部の膵管はHigh-grade PanIN、尾側の膵管にはLow-grade PanINを認めた。狭窄部の膵管周囲は強い繊維化を認め、その中に膵癌の微小浸潤を認めた。膵尾部の多房性嚢胞はserous cystadenomaであった。
【検討項目】膵体部の委縮部分や膵管狭窄部の病理学的変化と広がり。微小浸潤癌を認めたが、その診断と他に癌の所見はなかったか。