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P-2 術前化学療法施行後に切除した大腸癌肝転移症例におけるMorphologic responseの検討

森  庄平,岸  庸二,赤崎 卓之,田代 真優,中沢 祥子,岩崎 寿光,
永生 高広,上野 秀樹
防衛医科大学校外科学講座


【目的】分子標的薬の出現に伴い、大腸癌肝転移に対する効果判定として腫瘍径縮小以外に、Morphologic response(MR)(Chun YS, JAMA. 2009)が注目されている。薬物による奏功度の違い、MRの意義を検討した。
【方法】対象は2010年~2019年に大腸癌肝転移に対し術前化学療法施行後肝切除を行った症例。レジメンによるMR(Optimal vs. Incomplete vs. None)、RECISTの違いを比較、また、MR及びRECISTと大腸癌取扱い規約の病理学的奏功度の関連も比較した。多発肝転移では最大病変を評価対象とし、複数レジメン施行例では術前最後のレジメンで評価した。
【結果】全83例のうち、化学療法はイリノテカンベース(IRI)17例、オキサリプラチンベース(OX)64例。分子標的薬はBevacizumab(B-mab)40例、Cetuximab(C-mab)15例で使用。MRは、Optimal 23例、Incomplete 23例、None 37例で、RECISTではCR 0例、PR 39例、SD 25例、PD 19例であった。各種レジメンによりMRに差は認めなかったが、C-mab使用群で腫瘍数減少例(C-mab 60% vs. B-mab 23% vs. 非使用 32%,P=0.03)、腫瘍径縮小例(C-mab 80% vs. B-mab 48% vs. 非使用 64%,P=0.06)が多かった。病理学的奏功度はRECISTよりMRと相関していた(奏功度G2以上の割合,Optimal 71% vs. Incomplete 57% vs. None 35%,P=0.03)。
【結語】RECISTのPRはC-mab使用と関連していたが、MRを予測するレジメンは見出せなかった。一方、MRは病理学的奏功度と強い相関を示し、有用な効果判定法と示唆された。