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P-3 胆管原発Inflammatory myofibroblastic tumorの1切除例

三島 顕人1),小林  信1),工藤 雅史1),杉本 元一1),高橋進一郎1),小西  大1),後藤田直人1),渡邊 一雄2),小林 達伺3),小嶋 基寛4)
国立がん研究センター東病院肝胆膵外科1),国立がん研究センター東病院肝胆膵内科2),国立がん研究センター東病院放射線診断科3),国立がん研究センター東病院病理診断科4)


症例は30歳代女性。上腹部違和感、肝機能異常にて受診した。AST、ALTの上昇が指摘され、CTでは肝両葉胆管の拡張と中部胆管での狭窄と狭窄部位に一致して20mm大の充実性腫瘍を認めた。腫瘍は動脈相で造影され、静脈相で造影効果が遷延していた。MRI拡散強調像にて著明な拡散低下を認めた。EUSでは腫瘍は胆管を壁外から圧排し閉塞を来たしており、FNAによる生検では核腫大を伴う紡錘形細胞増殖とリンパ球・形質細胞集簇を認め、免疫染色にてALK陽性像を認めたことからinflammatory myofibroblastic tumorと診断した。ERBD後手術の方針とし、手術待機約1ヶ月間で30mm大へ増大を認めた。腫瘍は中部胆管に限局していることから肝外胆管切除術を施行し、術後9日目経過良好につき退院した。切除検体は、肉眼的に総胆管に隣接した30×25×20mm大の一部境界不明瞭な黄白色の充実性腫瘤であった。組織学的に紡錘形~短紡錘形の細胞が錯綜配列を呈しながら増殖し、腫瘍内外に著明なリンパ球浸潤を認めた。胆管の壁構造は保たれているが、腫瘍は総胆管と接していることから胆管発生と考えられた。免疫染色でALK陽性であることから、肝外胆管原発inflammatory myofibroblastic tumorと診断した。
【検討事項】本症例は、肝外胆管原発のinflammatory myofibroblastic tumorとして稀な疾患であり、画像所見と病理学的所見を含めた総合的な考察が必要と考える。