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P-4 膵原発Mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasmの肝転移に対し肝切除を行なった1例

井上 亨悦1),石田 晶玄1),水間 正道1),大塚 英郎1),中川  圭1),森川 孝則1,2),大森 優子2),古川  徹2),亀井  尚1),海野 倫明1)
東北大学大学院消化器外科学分野1),東北大学大学院病態病理学分野2)


【症例】65歳、男性【現病歴】貧血の精査で近医より当院消化器内科紹介。上部消化管内視鏡検査で十二指腸角から下行脚にかけて4cm程度の半周性2型の腫瘍を認め、腫瘍部位からの生検で低分化型腺癌の診断を得た。十二指腸癌もしくは膵癌の十二指腸浸潤の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行し、病理組織検査で腺胞細胞癌の一部に神経内分泌系統への分化を有するMixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm(MiNEN)と診断された。術後1年の造影CTで、肝S5に低吸収の腫瘤性病変を認め、造影MRIでは早期濃染し、肝細胞相で低信号を示し、肝転移と考えられた。3ヶ月後に再度造影CTを施行し、新規病変を認めなかったため、病変切除の方針とした。【手術】肝S5の転移性肝腫瘍に対し、肝部分切除術を施行した。術後胆汁漏を認めたため、腹腔穿刺ドレナージで対応した。【病理診断】前回の手術標本の腺房細胞癌成分と同様の像を呈し、肝転移の診断であった。【考察】膵原発MiNENは全膵腫瘍の0.6%程度と稀な疾患であり、その病態は不明な点が多く、肝転移切除の報告はない。今回、膵原発MiNENの肝転移症例に対し、肝切除を施行した症例を経験したので報告する。