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P-6 心窩部痛を契機に診断された膵サルコイドーシスの1例

川路 祐輝1),蘆田 玲子1),岩元 竜太2),山崎 博史1),田村 崇祥1),田村  崇1),幡丸 景一1),山下 泰伸1),糸永 昌弘1),北野 雅之1)
和歌山県立医科大学第二内科1),和歌山県立医科大学病理診断科2)


【症例】47歳、女性【主訴】心窩部痛【既往歴】唾石症【現病歴】20XX年5月に心窩部痛、背部痛が出現したため近医を受診した。血液検査で膵酵素上昇を認め、急性膵炎が疑われたため当科紹介となった。【現症】身長159cm、体重52kg、BMI 20.5、腹部は平坦軟、圧痛なし。【検査所見】血液検査ではWBC 6430/μL、AMY 269U/L、リパーゼ 1182U/L、CRP 0.05mg/dL、IgG4 81mg/dL、ACE 13.9U/L、sIL-2R 356 U/mLであった。腹部造影CTで膵のびまん性腫大を認めた。PET-CTでは膵全体にSUVmax=8.92のFDG集積を認めたが、その他の臓器に明らかな異常集積は認めなかった。EUSでは膵は全体に腫大し、特に膵頭部は体尾部より低エコーであり強い炎症が疑われた。診断のためEUS-FNAを施行すると、病理所見で標本全体に類上皮細胞の集簇からなる肉芽腫が形成されていた。【診断】サルコイドーシスの診断基準のうち組織診断群の項目を満たしていた。肺、心、眼などに明らかな病変なく、膵原発のサルコイドーシスと診断した。【経過】有症状のためステロイド治療を検討していたが、治療直前の造影MRIで膵腫大が改善傾向であったため、経口蛋白分解酵素阻害剤投与のみの方針となった。症状出現から2ヶ月後には背部痛は消失し、血液検査で膵酵素も正常化した。その後も経過観察をしているが、5ヶ月経過した現在も再燃を認めていない。
【問題点】画像検査から膵サルコイドーシスと診断し得たか。