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P-9 内部に高エコー像を伴う貯留嚢胞(retntion cyst)を合併した膵尾部癌の一例

森田 敏広1),中神 聡太1),東 俊二郎1),栗山 勝利1),本庄  原2),寺嶋 宏明3),弓場 吉哲2),八隅秀二郎1)
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院消化器内科1),公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院病理診断科2),公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院消化器外科3)


症例は70歳男性。近医MRIで膵尾部に28mm大嚢胞性病変及び尾側膵管拡張を指摘され紹介された。EUSで被膜を伴う18mm大の単房性嚢胞性病変を認め、嚢胞内部に類円形の高エコー像を認めた。嚢胞の膵頭部側に15mm大の低エコー結節を認め、貯留嚢胞を伴う膵尾部癌を疑った。EUS-FNA施行時時、嚢胞は13mmに縮小し、内部の高エコーも不明瞭化していた。結節部を穿刺したが悪性所見を認めず。ERPでは尾側膵管狭窄とそのすぐ尾側の嚢胞を認めた。ENPD留置による膵液細胞診は異型/鑑別困難(others)の結果であった。1ヶ月後の造影CTで結節部が明瞭化し、再度EUS-FNAを施行しadenocarcinomaと診断した。その際には嚢胞径27mmと増大し、内部の高エコー像は消失していた。膵体尾部切除術を施行し、術中迅速で断端主膵管上皮にhigh grade PanINを認めたため追加切除した。膵尾部に25mm大の浸潤性膵管癌とその尾側に嚢胞状拡張を伴う膵管内病変を認めた。嚢胞内に結節や貯留物は認めず。膵頭部側の主膵管内にhigh grade PanINを認めたが主病変とは離れており別病変と考えられた。貯留嚢胞内の高エコー像の原因は何であったと推測されるか、主膵管内のhigh grade PanINは主病変と別病変でよいか、また術前画像で診断可能であったかについて御検討お願い致します。