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P-10 術前診断が困難であった膵Solitary fibrous tumorの1例

中坪 良輔1,2),永井 一正1),向井俊太郎1),土屋 貴愛1)
永川 裕一2),糸井 隆夫1)
東京医科大学病院臨床医学系消化器内科学分野1),東京医科大学病院消化器外科・小児外科2)


症例は40歳代女性。2021年3月、前医CTにて膵頭部に腫瘤を認め、精査目的に当院紹介となった。造影CTで膵頭部に10mm大の遅延性に濃染する腫瘤を認めた。MRI上、T1WIで低信号、T2WIで高信号、DWIで軽度拡散の低下を認めた。EUSでは、境界明瞭、辺縁やや不整な類円形の低エコー腫瘤として描出され、内部は高・低エコーが混在しやや不均一であった。ソナゾイド造影では、周囲膵実質より遅れて濃染され、造影効果が持続していた。SPNや神経内分泌腫瘍が鑑別に挙げられたが、いずれも非典型的であり、EUS-FNAを行う方針となった。初回は25GのFNB針で施行したが、確定診断に至らず、22Gで再穿刺を行った。採取検体からは、硝子化の目立つ線維性の組織を認めた。一部にN/C比の高い上皮様細胞の微小塊を認め、悪性の可能性を否定できず、十分なIC後に膵頭十二指腸切除術が施行された。病理組織は、比較的疎な膠原線維の沈着を背景として小型のスリット状血管が密に増生していた。病変辺縁部を主体として、異型に乏しく均一な紡錘形細胞を認め、免疫組織化学染色で、AE1/AE3(-)、SMA(-)、DOG1(-)、CD31(-)、CD34(+)、S100(-)、β-catenin(-)、STAT6(+)を呈していた。以上より、孤立性線維性腫瘍(Solitary fibrosis tumor:SFT)の最終病理診断となった。術後経過は良好で、現在まで再発なく経過している。
検討いただきたい点:術前にSFTと診断することは可能であったか。病理組織は、SFTとして矛盾ないか。