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P-11 嚢胞の増大と縮小を伴った膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)の一例

鈴木 健太,深見 保之,安井 講平,福山 貴大,齊藤 卓也,小松俊一郎,
金子健一朗,佐野  力
愛知医科大学


症例は74歳,女性。膵体部の分枝型IPMNと診断され半年ごとに経過観察していた。初診より7年目に施行したCTで嚢胞内部に充実性腫瘤の認めたため手術目的に当科紹介となった。腫瘍マーカーの上昇はなくCTで膵体部に嚢胞性病変を認め内部に充実性成分を認めた。嚢胞は経年的に増大傾向であったが直近のCTでは28mmから19mmに縮小していた。EUSでも内部に充実性成分を認めたがソナゾイド造影では明らかな造影効果は認めなかった。これらから分枝型IPMNの経過観察中に出現した嚢胞内結節としてIPMN由来膵癌の可能性も否定できず外科的切除の方針とし腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。術後は特に膵液漏などの術後合併症なく術後6日目に退院となった。摘出標本の病理診断ではSerous cystadenomaと診断され明らかな悪性所見は認めなかった。SCNは比較的稀な腫瘍であり全膵腫瘍の1~2%を占め、膵嚢胞性腫瘍の4~10%を占める。形態学的にはmicrocystic type、macrocystic typeなどに分類されmicrosistic typeは造影CT/MRIで多血性腫瘍の所見を呈することもあり、嚢胞内充実性腫瘤と区別が困難な場合もある。またmixed typeではmicrocystの線維性瘢痕をIPMNの結節と診断し切除に至った症例も報告されている。本症例においても分枝型IPMNとして経過観察されており充実性成分の出現により切除の方針となっており、本症例の術前画像からSCNと診断することが可能であったか画像を供覧しご教授いただきたい。