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P-14 嚢胞性病変が突然消失し充実性病変となった、IPMN合併膵黄色肉芽腫性炎症の1例

長谷川浩之,深澤 光晴,高野 伸一,高橋  英,川上  智,深澤 佳満,
原井 正太,島村 成樹,吉村  大,今川 直人
山梨大学医学部消化器内科


症例は70歳代、女性。4年前に膵体部の分枝型IPMNを指摘され、High‐risk stigmataやWorrisome featureを認めず低悪性度IPMNと診断。気管支喘息があるため、腹部超音波検査、単純CT、MRI/MRCPにより6か月ごとのサーベイランスを行っていた。半年前に行ったMRI/MRCPでは膵体部嚢胞性病変は20mm大で充実成分や拡散制限を認めず経過観察としたが、今回腹部超音波検査で嚢胞が消失し同部に13mm大低エコー結節が出現したため当科に紹介となった。MRIで既知の嚢胞性病変は消失して充実性病変となり、脂肪抑制T1WIで低信号、T2WIで等信号、DWIで拡散制限を呈した。PET-CTでは同部にFDG限局性集積を認めた。EUSでも嚢胞は消失し、境界不明瞭、輪郭不整、不均一な低エコー病変に変化していた。液体成分を全く認めない点が非典型的だが、経過とMRI拡散制限所見、FDG集積所見からIPMN由来浸潤癌を疑い、膵頭十二指腸切除を行った。病理検体では、術前に指摘されていた充実性病変と一致する部位に10mm大の黄色結節が見られ、多核巨細胞を伴う泡沫細胞の集簇を認めることから黄色肉芽腫性炎症の診断となった。充実性病変を含む主膵管および分枝膵管にはIPMN,Low‐grade dysplasiaを認めた。IPMNに合併した膵黄色肉芽腫性炎症の報告は過去に5例と極めて稀であり、出現前後の画像を比較できたのは本例が初めてである。画像所見と病理所見を検討いただき、嚢胞から充実性病変へ変化した機序を解明したく報告する。