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P-15 術前診断が困難だったIPMNの一例

渡邉 隆一1),大島  忠1),伊在井 亮1),田村  玲1),甲嶋 洋平1),高橋 正憲2),新村 兼康3),前田慎太郎3),鈴木 崇之3),李  治平4)
さいたま赤十字病院肝胆膵内科1),さいたま赤十字病院消化管内科2),さいたま赤十字病院外科3),さいたま赤十字病院病理診断科4)


症例は60歳女性.急性膵炎加療後も腹痛発作を繰り返すため当院紹介受診となった.腹部造影CTでは膵頭部に15mm大の周囲膵実質より弱く造影される腫瘤を認めた.尾側の主膵管は4mm程度に拡張していた.MRIではT1low intensity T2 highの15mm大の腫瘤を認めた.MRCPではカニ爪様に主膵管を閉塞する腫瘤を認めた.超音波内視鏡検査(EUS)では14mm大の境界明瞭な充実性の腫瘤を膵頭部に認めた.PETCTでは膵頭部病変に淡いFDG集積を認めた.ERCPでは乳頭開口部に開大なく粘液排出はなかった.膵管造影では膵頭部主膵管にカニ爪状の狭窄を認め,粘液透亮はなかった.以上の画像所見から膵管内管状乳頭腫瘍(ITPN)を疑い,膵頭十二指腸切除を行った.術後の病理診断では胃底腺細胞に類似した細胞が認められ,免疫染色ではMUC5ACはごく一部陽性,MUC6陽性であり,gastric type IPMAと診断された.IPMNは臨床的な特徴として,肉眼でVater乳頭の開大,粘液流出を特徴としITPNは拡張膵管内に鋳型状にはまり込むように増生する腫瘍で,粘液産生を認めないと定義されている.術前診断は画像所見でITPNと診断したが,病理所見からIPMNと最終診断した1例を経験したので考察を加えて報告する.