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P-18 膵頭部癌との鑑別に苦慮した急性膵炎が診断の契機となった膵内胆管癌の一例

栗田 裕介1),八木  伸1),長谷川 翔1),佐藤 高光1),中島  淳1),遠藤  格2),窪田 賢輔1)
横浜市立大学附属病院肝胆膵消化器病学1)
横浜市立大学附属病院消化器腫瘍外科2)


症例は76歳男性。14年前胆嚢癌(粘膜上皮内癌)にて胆嚢摘出した既往がある。その際に胆嚢摘出時の断端評価が不能であったため肝外胆管の追加切除を施行され、追加切除検体では悪性所見は認めなかった。今回、心窩部痛を自覚し、急性膵炎の診断で当科入院となった。その際に施行した造影CTにて膵頭部に乏血性腫瘍を疑われ、EUSでも尾側主膵管の拡張とともに、主膵管途絶部の膵頭部に20mm大の低エコー結節が描出された。EUS-FNAを施行し、adenocarcinomaであった。ERP、MRCPでも腫瘍に一致した部位に主膵管狭窄と腫瘍尾側の主膵管拡張を伴っていた。膵頭部癌(T1N0M0 cStageIA)の術前診断となり、膵頭十二指腸切除が施行された。切除検体の病理は、膵内遺残胆管を中心として乳頭腺管構造をとる腺癌で一部に微小乳頭状構造を認めた。膵内胆管にin situ病変を認め、その周囲全周性に浸潤部が進展しており、膵内胆管癌の最終病理診断に至った。本症例は膵内遺残胆管癌であり、腫瘍の主膵管圧排による急性膵炎が診断の契機となり異時性胆道癌の可能性が示唆された一例であった。術前画像診断が可能であったか、ならびに最終病理診断についてもご検討していただきたい。