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P-21 偶発的に指摘され、早期での治療に至った未分化胆嚢癌の1例

関根 匡成1),松本 圭太1),大竹はるか1),宮谷 博幸1),相澤 栄俊2),渡部 文昭2),加藤 高晴2),野田 弘志2),力山 俊樹2),眞嶋 浩聡1)
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科1),自治医科大学附属さいたま医療センター一般・消化器外科2)


症例は60歳、女性。近医に通院中、肝機能異常を認めた。腹部超音波検査で胆嚢病変が指摘され、当院に紹介となった。腹部超音波検査では、胆嚢体部に20mm大の隆起性病変を認めた。付着部に壁の肥厚は認めなかった。造影CTでは、胆嚢体部に淡く造影される腫瘤性病変を認めた。胆嚢床にも造影効果を伴い、胆嚢癌肝浸潤が疑われた。EUSでは、胆嚢には一部広基性を疑う亜有茎性の腫瘤を認めた。周囲高エコー、内部低エコーで辺縁はやや不整であった。漿膜外層までの浸潤を疑う所見は認めなかった。ソナゾイド造影では腫瘤はびまん性に造影された。採血上、腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。胆嚢腺腫もしくは胆嚢癌を疑い、まずは腹腔鏡下胆嚢摘出術の方針となった。病理では胆嚢体部に12mm大の乳頭膨張型の腫瘍を認め、未分化な腫瘍細胞が充実性に増殖していた。周囲粘膜への進展はなく、筋層への浸潤所見は認めなかった。免疫染色ではCD31(-)、CD34(-)、CD45(-)、CD56(focal+)、chrograninA(-)、pancytokeratin AE1/3(focal+)、D2-40(-)、desmin(-)、HMB45(-)、MelanA(-)、S100(-)、synaptophysin(-)であった。最終診断は未分化胆嚢癌の診断となった。T1bであったが、胆嚢床およびリンパ節の追加切除を施行した。胆嚢床への浸潤所見は認めず、#12cのリンパ節転移も認めなかった。1)上記診断は妥当であるか、2)術前検査における画像診断のポイントについて討論、および御教授いただきたい。