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【症例】 57歳女性。
【主訴】 血糖コントロール不良。
【既往歴】 35歳2型糖尿病、57歳高血圧症。
【現病歴】 X年7月、糖尿病のコントロール悪化のため前医を受診した。CT・EUSで膵体部の小腫瘤を指摘され、EUS-FNAを施行されたが、異型のない腺房細胞を認めるのみあった。画像上膵癌が疑われたため、精査目的にX年9月に当院紹介受診した。受診時症状はなく、腫瘍マーカーは陰性であった。造影CT検査では、膵体部に8 ㎜大の乏血性腫瘤と、その末梢側の膵管拡張を指摘された。EUSでは膵体部に8 ㎜大の境界明瞭、輪郭整、内部均一な低エコー腫瘤を認め、腫瘤より尾側の主膵管は4.6 ㎜に拡張していた。EUS-FNAを再検したが、異型腺管を少量認めるのみであったため連続膵液細胞診を予定していたが、本人・家族の希望で手術の方針となった。X年11月に腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。標本では膵体部に8 ㎜大の白色結節を認め、小型円形核と顆粒状胞体を有する細胞の増生を認めた。免疫組織学的にS100陽性で、顆粒細胞腫と診断した。その後FNA検体を再検討したところ、S100陽性を示す細胞があったことが確認できた。
【考察】 顆粒細胞腫はSchwann細胞由来と考えられている良性腫瘍である。全身に発生しうるが、消化管への発生は約8%で、膵臓での発生は極めて稀であるため、術前診断が困難であった。
【検討事項】 術前の画像で鑑別診断に挙げることが可能であったか。EUS-FNA術前診断は可能であったかについてご討議いただきたい。
O-15 術前診断が困難であった膵原発顆粒細胞腫の1例
◯山口 奈奈子1)、杉森 聖司1)、山口 翼1)、中平 晶雄1)、
坂田 侑平1)、平田 直人1)、末包 剛久1)、山崎 智朗1)、
根引 浩子1)、村田 哲洋2)
1)大阪市立総合医療センター 消化器内科、2)大阪市立総合医療センター 肝胆膵外科
【症例】 57歳女性。
【主訴】 血糖コントロール不良。
【既往歴】 35歳2型糖尿病、57歳高血圧症。
【現病歴】 X年7月、糖尿病のコントロール悪化のため前医を受診した。CT・EUSで膵体部の小腫瘤を指摘され、EUS-FNAを施行されたが、異型のない腺房細胞を認めるのみあった。画像上膵癌が疑われたため、精査目的にX年9月に当院紹介受診した。受診時症状はなく、腫瘍マーカーは陰性であった。造影CT検査では、膵体部に8 ㎜大の乏血性腫瘤と、その末梢側の膵管拡張を指摘された。EUSでは膵体部に8 ㎜大の境界明瞭、輪郭整、内部均一な低エコー腫瘤を認め、腫瘤より尾側の主膵管は4.6 ㎜に拡張していた。EUS-FNAを再検したが、異型腺管を少量認めるのみであったため連続膵液細胞診を予定していたが、本人・家族の希望で手術の方針となった。X年11月に腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。標本では膵体部に8 ㎜大の白色結節を認め、小型円形核と顆粒状胞体を有する細胞の増生を認めた。免疫組織学的にS100陽性で、顆粒細胞腫と診断した。その後FNA検体を再検討したところ、S100陽性を示す細胞があったことが確認できた。
【考察】 顆粒細胞腫はSchwann細胞由来と考えられている良性腫瘍である。全身に発生しうるが、消化管への発生は約8%で、膵臓での発生は極めて稀であるため、術前診断が困難であった。
【検討事項】 術前の画像で鑑別診断に挙げることが可能であったか。EUS-FNA術前診断は可能であったかについてご討議いただきたい。
