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82歳女性。原発性胆汁性胆管炎に対し、定期経過観察中の腹部超音波検査で胆嚢腫瘍を指摘された。血液生化学検査では腫瘍マーカーCEA/CA19-9の上昇はみなかった。超音波検査では胆嚢体部に21 ㎜大の広基性隆起性病変がみられ、粘膜面は凹凸不整であったが連続性は保たれていた。胆嚢内腔には多数の結石をみた。造影超音波検査では早期より均一に造影された。EUSでも粘膜面は凹凸不整であったが、胆嚢壁の外側高エコーは保たれていた。CT検査では単純で高吸収、造影早期より造影され、遷延性であった。MRI検査では漸増性に造影され、T1/2で低信号、拡散強調像では高信号を呈した。FDG- PET検査では、同部位に軽度異常集積(SUVmax=2.8→3.8)をみた。以上の画像診断より胆嚢癌を疑い、深達度はT1b(MP)とした。十分なInformed consentを得た上、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。摘出病理組織は、肉眼的には底部から体部にかけて乳頭状に増殖する病変であり、大部分は多彩な異型を示す上皮に被覆されたIntracholecystic papillary neoplasm(ICPN)で、さらに同部位に連続して上皮下に浸潤増殖する低分化腺癌相当の病変が広範に進展しており、ICPN with associated invasive carcinomaと最終診断した。腹腔側漿膜下層までの浸潤であり、pT2aとした。本症例において、間質浸潤及びICPNの術前診断が可能であったか、ご検討をいただきたい。
O-19 胆嚢ICPN の一切除例
○平井 真吾1)、岡部 義信1)、中山 正道2)、内藤 嘉紀2)、
吉村 壮平1)、島松 裕1)、寺部 寛哉1)、牛島 知之1)3)、久下 亨4)、
川口 巧1)
1)久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門、2)久留米大学医学部 病理診断科・病理部、3)久留米大学医学部 がん集学治療センター、4)久留米大学医学部 外科学講座 肝胆膵外科部門
82歳女性。原発性胆汁性胆管炎に対し、定期経過観察中の腹部超音波検査で胆嚢腫瘍を指摘された。血液生化学検査では腫瘍マーカーCEA/CA19-9の上昇はみなかった。超音波検査では胆嚢体部に21 ㎜大の広基性隆起性病変がみられ、粘膜面は凹凸不整であったが連続性は保たれていた。胆嚢内腔には多数の結石をみた。造影超音波検査では早期より均一に造影された。EUSでも粘膜面は凹凸不整であったが、胆嚢壁の外側高エコーは保たれていた。CT検査では単純で高吸収、造影早期より造影され、遷延性であった。MRI検査では漸増性に造影され、T1/2で低信号、拡散強調像では高信号を呈した。FDG- PET検査では、同部位に軽度異常集積(SUVmax=2.8→3.8)をみた。以上の画像診断より胆嚢癌を疑い、深達度はT1b(MP)とした。十分なInformed consentを得た上、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。摘出病理組織は、肉眼的には底部から体部にかけて乳頭状に増殖する病変であり、大部分は多彩な異型を示す上皮に被覆されたIntracholecystic papillary neoplasm(ICPN)で、さらに同部位に連続して上皮下に浸潤増殖する低分化腺癌相当の病変が広範に進展しており、ICPN with associated invasive carcinomaと最終診断した。腹腔側漿膜下層までの浸潤であり、pT2aとした。本症例において、間質浸潤及びICPNの術前診断が可能であったか、ご検討をいただきたい。
