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【症例】 74歳男性、体調不良で近医受診、CTで胆嚢腫大と胆嚢結石、肝内胆管拡張を認め当院救急搬送された。
【画像】 CT:胆嚢は、結石嵌頓はないが腫大し、びまん性に壁肥厚して層構造が不明瞭で造影効果に乏しく、内部に腫瘤影はみられず、底部で穿通が疑われた。肝門部に造影効果のある病変が拡がり、胆管狭窄、門脈狭小化、右肝動脈の広狭不整像がみられ、進行胆管癌も疑ったが、胆汁性腹膜炎を伴う壊死性胆嚢炎と考え、ENBDチューブを留置し腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。肉眼的にも胆嚢癌を示唆する所見に乏しかったが、右横隔膜下、膀胱直腸窩に腹膜播種を認めた。
【病理】 胆嚢全体に既存の構造は消失し、硝子化が強く、hyalinizing cholecystitisと診断された。胆嚢壁にはびまん性に、中分化型、一部低分化型の管状腺癌が散在し、頚部では粘膜内病変から浸潤部に移行する像を認めた。腫瘍細胞は主に胃型形質を有していた。腹膜結節も同様の腫瘍であった。
【検討項目】 Hyalinizing Cholecystitisは、肥厚した胆囊壁の密な硝子線維化を特徴とし1)、胆嚢癌を伴うと報告されている。自験例では明瞭な腫瘤を形成せず肝十二指腸間膜に拡がり、腹膜転移も伴っていたが、このような増殖・進展様式はHyalinizing cholecystitisに癌を併発した場合に一般的であるのか、さらにhyalinizing cholecystitisの形成機序についても御検討頂ければ幸いです。
【文献】 1)S. Patel, et al. Am J Surg Pathol 2011 Vol. 35, 1104-13
O-20 胆嚢癌を合併したHyalinizing cholocystitis の1例
○木下 雅仁1)、北川 裕久1)、武藤 純1)、橋田 和樹1)、河本 和幸1)、
石田 悦嗣2)、小山 貴3)、能登原 憲司4)
1)倉敷中央病院 外科、2)倉敷中央病院 消化器内科、3)倉敷中央病院 放射線診断科、4)倉敷中央病院 病理診断科
【症例】 74歳男性、体調不良で近医受診、CTで胆嚢腫大と胆嚢結石、肝内胆管拡張を認め当院救急搬送された。
【画像】 CT:胆嚢は、結石嵌頓はないが腫大し、びまん性に壁肥厚して層構造が不明瞭で造影効果に乏しく、内部に腫瘤影はみられず、底部で穿通が疑われた。肝門部に造影効果のある病変が拡がり、胆管狭窄、門脈狭小化、右肝動脈の広狭不整像がみられ、進行胆管癌も疑ったが、胆汁性腹膜炎を伴う壊死性胆嚢炎と考え、ENBDチューブを留置し腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。肉眼的にも胆嚢癌を示唆する所見に乏しかったが、右横隔膜下、膀胱直腸窩に腹膜播種を認めた。
【病理】 胆嚢全体に既存の構造は消失し、硝子化が強く、hyalinizing cholecystitisと診断された。胆嚢壁にはびまん性に、中分化型、一部低分化型の管状腺癌が散在し、頚部では粘膜内病変から浸潤部に移行する像を認めた。腫瘍細胞は主に胃型形質を有していた。腹膜結節も同様の腫瘍であった。
【検討項目】 Hyalinizing Cholecystitisは、肥厚した胆囊壁の密な硝子線維化を特徴とし1)、胆嚢癌を伴うと報告されている。自験例では明瞭な腫瘤を形成せず肝十二指腸間膜に拡がり、腹膜転移も伴っていたが、このような増殖・進展様式はHyalinizing cholecystitisに癌を併発した場合に一般的であるのか、さらにhyalinizing cholecystitisの形成機序についても御検討頂ければ幸いです。
【文献】 1)S. Patel, et al. Am J Surg Pathol 2011 Vol. 35, 1104-13
