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O-21 局在診断が困難であったIAPN の一例

○森 雄貴1)、栗山 勝利1)、大沢 一希1)、伊藤 凌1)、東 俊二郎1)
森田 敏広1)、八隅 秀二郎1)、河合 隆之2)、寺嶋 宏明2)、本庄 原3)
1)公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器内科、2)公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器外科、3)公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院 病理診断科


 症例は77 歳女性。心窩部不快感、食欲不振を主訴に前医を受診し、総胆管拡張を指摘され当科紹介となった。腹部造影CT で主乳頭近傍の遠位胆管に造影効果を有する腫瘤性病変を認め、胆管拡張と主膵管の軽度拡張を認めた。MRI では遠位胆管に不整形の隆起性病変を認めたが、拡散制限は認めなかった。EUS では乳頭部胆管から遠位胆管にかけて約20 ㎜の軽度高エコーを示す乳頭状隆起性病変を認め、不整な粘膜が肝門側へ30 ㎜程度進展し、また主膵管内進展も疑われた。内視鏡的には乳頭に腫瘤性病変は認めず、口側隆起の腫大も目立たなかった。ERC では乳頭部近傍の遠位胆管に乳頭状の欠損像を認めたが、ERP では明らかな欠損像は認めなかった。胆管炎に対するENBD tube 留置後のため、IDUS は評価困難であった。膵内胆管の生検では腫瘍は認めず、遠位胆管の生検で好酸性胞体を有する高円柱上皮の管状、乳頭状増生を認めた。EUS では膵管進展を疑ったが、ERP 上明らかな欠損像を認めなかった。病変の主座は遠位胆管末梢と判断し、IPNB と術前診断し、SSPPD を施行した。術後病理評価では、乳頭部胆管を主座とする、好酸性胞体を有する高円柱上皮の管状、乳頭状増生を認め、共通管部や乳頭部膵管へ進展していたが、遠位胆管への進展は認めなかった。概ね低異型度であり、intra-ampullary papillarytubular neoplasm(IAPN)と最終診断した。術前の局在診断が難しく、画像所見、病理所見について検討頂きたい。