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症例は50 歳代男性。毎年施行の人間ドックの腹部US で、初めて膵管拡張を指摘され紹介となった。症状なし。Amy 47U/L、CEA 0.9ng/mL、CA19-9 4.5U/mL、IgG4 173 ㎎/dL。腹部US では、膵体尾部主膵管の軽度拡張(φ 2.6 ㎜)を認めた。造影CT では、膵頭部でくびれを伴った限局性膵萎縮を認め尾側膵管は拡張していた。MRI では、膵頭体移行部付近で膵管狭窄を認めたが、閉塞起点となるような腫瘤は認識されなかった。EUS では、膵管狭窄部に境界明瞭、辺縁やや不整な、高エコーが混在した1 ㎝大の低エコー領域を認めた。ERP では、膵頭部で軽度の膵管狭窄を認め、尾側膵管が拡張していた。ENPD 留置下連続膵液細胞診は、疑陽性(4/10 回)であった。限局性膵萎縮、膵管狭窄を認め、膵液細胞診でも悪性所見の否定はできず、膵上皮内癌も考慮し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理所見では、膵萎縮部付近の主膵管、その周囲に低異型度膵上皮内腫瘍(Low-grade PanIN)が散見され、線維化を伴っていた。腺房の萎縮、脱落と共に脂肪置換も呈していた。切除断端を含め高異型度病変は認めなかった。低異型度PanIN による限局性膵萎縮、膵管狭窄を呈した一例を経験した。膵管狭窄の原因はPanIN による線維化の影響と考えられ、EUS で描出された低エコーは線維化を反映していたと考えられた。上皮内癌、および浸潤癌との画像的鑑別も含め議論頂きたい。
P-07 限局性膵管狭窄、膵萎縮を呈した膵頭部低異型度膵上皮内腫瘍の一例
○小林 陽介1)、山田 洋介1)、海野 修平1)、木全 政晴1)、芳澤 社1)、
室久 剛1)、長澤 正通1)、細田 佳佐1)、山本 博崇2)、大月 寛郎3)
1)聖隷浜松病院 消化器内科、2)聖隷浜松病院 肝胆膵外科、3)聖隷浜松病院 病理診断科
症例は50 歳代男性。毎年施行の人間ドックの腹部US で、初めて膵管拡張を指摘され紹介となった。症状なし。Amy 47U/L、CEA 0.9ng/mL、CA19-9 4.5U/mL、IgG4 173 ㎎/dL。腹部US では、膵体尾部主膵管の軽度拡張(φ 2.6 ㎜)を認めた。造影CT では、膵頭部でくびれを伴った限局性膵萎縮を認め尾側膵管は拡張していた。MRI では、膵頭体移行部付近で膵管狭窄を認めたが、閉塞起点となるような腫瘤は認識されなかった。EUS では、膵管狭窄部に境界明瞭、辺縁やや不整な、高エコーが混在した1 ㎝大の低エコー領域を認めた。ERP では、膵頭部で軽度の膵管狭窄を認め、尾側膵管が拡張していた。ENPD 留置下連続膵液細胞診は、疑陽性(4/10 回)であった。限局性膵萎縮、膵管狭窄を認め、膵液細胞診でも悪性所見の否定はできず、膵上皮内癌も考慮し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理所見では、膵萎縮部付近の主膵管、その周囲に低異型度膵上皮内腫瘍(Low-grade PanIN)が散見され、線維化を伴っていた。腺房の萎縮、脱落と共に脂肪置換も呈していた。切除断端を含め高異型度病変は認めなかった。低異型度PanIN による限局性膵萎縮、膵管狭窄を呈した一例を経験した。膵管狭窄の原因はPanIN による線維化の影響と考えられ、EUS で描出された低エコーは線維化を反映していたと考えられた。上皮内癌、および浸潤癌との画像的鑑別も含め議論頂きたい。