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PS-5(O-14) 切離ラインの決定に難渋した膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)の1例

○四至本 貴大1)、蘆田 玲子1)、目 佳那子2)、田村 崇祥1)、川路 祐輝1)、田村 崇1)、幡丸 景一1)、山下 泰伸1)、糸永 昌弘1)、高橋 祐一2)、北野 雅之1)
1)和歌山県立医科大学 第二内科、2)和歌山県立医科大学 病理診断科


【症例】69歳、男性
【現病歴】20XX年11月に左上腹部痛を主訴に近医受診。造影CT、MRCPで膵体部から尾部にかけて膵萎縮を認め、膵管閉塞による膵炎が疑われ、原因精査目的で紹介となった。【検査所見】造影CTでは膵体部から尾部にかけて膵実質の萎縮を認め、膵尾部周囲には軽微な液体貯留を認めた。MRCPでは膵体部に膵管の途絶を認め、近傍に複数の小嚢胞を認めた。PET/CTでも明らかなFDGの集積は認めなかった。EUSでは膵体部を中心として石灰化を伴う低エコー性変化を認めた。同部位の主膵管は狭窄し、CTと同様、尾側の膵実質は萎縮していた。ソナゾイドによる造影EUSでは、均一に染影され炎症性変化が考えられた。膵管造影所見では、膵体部から尾部にかけて主膵管の連続的な狭細化及び口径不同を認め、一部分枝膵管の拡張を認めた。連続膵液細胞診では軽度の核腫大を認めるものの、class IIの結果であった。膵液の遺伝子変異検査ではKRAS遺伝子の変異を認めた。
【経過】以上の結果から、膵体尾部の上皮内癌を疑う所見であり、ロボット支援下に門脈直上を切離線とする膵体尾部切除術を行った。術後の病理結果では膵管内に乳頭構造を呈する異型上皮細胞の増生を認め、 high grade PanINの結果であった。しかし、口側の断端は陽性であり病変は断端から膵尾部末端にかけて連続性に進展しているものと考えられた。
【問題点】術前画像所見から正確に進展範囲を診断できたか討議お願いします。