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P-10 膵内副脾に発生したEpidermoid cystと思われる1例

○横井 佳博
新城市民病院 外科


 症例は48歳男性。急性虫垂炎で受診した際のCT(2019/8/27)で、膵尾部に単房性嚢胞(10.4mm)とその周囲に造影効果のある腫瘤(19mm)が描出された。嚢胞の内腔表面は平滑で、腫瘍性隆起はなく、内容は軽度に変性した液体であった。嚢胞周囲と近傍に突出する充実性組織は脾臓と同様の造影効果パターンを示していた。MRIでは同様に嚢胞性病変があって、辺縁にやや厚い被膜を伴う表面平滑な嚢胞性病変で、T1強調像で低信号、T2強調像で高信号であった。また嚢胞周囲組織は脾臓と同様の信号パターンであった。EUSでは膵尾部に内部均一な嚢胞性病変であり、内腔への隆起性病変はなかった。嚢胞以外の膵臓には異常所見は認めず、膵管との交通は不明瞭であった。CEA 0.8ng/ml, CA19-9 3.5 U/mlと正常であった。
 鑑別疾患としてMCN, Solid pseudopapillary neoplasm, 膵NET、貯留性嚢胞、仮性嚢胞、膵管癌、腺房細胞癌などが考えられたが、嚢胞周囲と充実性組織の血流パターンやMRI信号パターンが脾臓と一致していることから膵内副脾とそれに伴う類表皮嚢胞を最も疑った。経過観察とした。
 その後3年を過ぎ、嚢胞は縮小したが、腫瘤全体の大きさや画像所見は変わりがない。