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代表世話人あいさつ

日本消化器画像診断研究会
代表世話人 花田敬士

 2022年4月から代表世話人を仰せつかりました。本研究会は1983年に有山 襄先生、竹原靖明先生のご尽力により第1回が開催されて以降、40年近く続いている大変歴史ある研究会で、消化器領域特に肝胆膵疾患を対象に、画像・病理診断技術と治療成績の向上および疾患に関する最先端の知識習得および普及を図ることを目的に活動しています。現在まで、有山 襄先生、堀口祐爾先生、山雄健次先生、真口宏介先生とまさに日本の消化器病学を代表する先生方に代表世話人として本研究会を牽引して頂きました。
 本研究会では毎回、全国各地から多数の消化器内科、消化器外科、腫瘍内科、放射線科、病理学の先生方が集い、特に肝胆膵領域の症例を対象に画像と病理所見の対比を行って、診断・治療の問題点について徹底した議論を行っています。1例1例について症例提示の時間より数倍の長い討論時間を設定し、若手、ベテランの区別なく熱い討論が交わされた結果、提示された症例の診断が覆ることもしばしばで、画像や病理所見の提示には高いクオリティが求められ科学的な根拠も必要です。このような深い議論は時間の制約のある通常の学会や研究会ではなかなか経験できず、参加者は議論の内容を非常に印象深く共有することができ、その後の日常臨床における画像の読影などに生かせるようになります。いわば“病理所見に裏付けられた画像を見る目を鍛える道場”から、特に肝胆膵領域で現在国内をリードする専門医が数多く育ち活躍しています。
 私は1988年に卒業後、1992年2月に福岡で開催された第16回の本研究会(池田靖洋先生)で初めて症例提示を行いました(インスリノーマとの鑑別に苦慮した膵頭部後面肉芽腫性リンパ節炎の1例)。初めての全国デビューであり、極度の緊張で固まっていたところに「スライドの写真が読影に耐えない!」とフロアから矢継ぎ早に厳しい指摘が飛んできて、頭が真っ白になった記憶があります。以降、フロアから認めて頂ける内容にすべく、繰り返し本研究会に挑戦して参りました。その後、研究会や研究会後のレクリエーションを通じて仲良くなった先輩、同輩、後輩の先生が次第に多くなるにつれ、自身の専門枠を超えた緊密な情報交換、人事交流が盛んになりました。私は一市中病院で診療している立場ですが、国内最高レベルの画像診断の情報を共有することができたことに、本研究会の価値を改めて感じているところです。
 本研究会はかつて、数年に一度海外開催を行った時期もありましたが、昨今の医療情勢により困難な状況になっています。またコロナウィルス感染拡大前は年2回、冬に東京で1日開催、夏に東京以外の地区で2日開催の形式をとって参りましたが、今後は年1回の開催とする方針となりました。今後、コロナ感染が収束し、熱い議論のあとの“全員懇親会”が開催出来ることを願うばかりです。懇親会は領域、年齢を超えてまさに全員夜がふけるのを忘れて語り合う楽しいひとときで、若手の先生が、学会の壇上で見かける“雲の上の存在”であるベテランの先生方とも気軽に懇親できる場となっています。
 昨今、診断学の領域にも遺伝子診断、AI診断が急速に展開されつつありますが、質の高い根拠に基づく画像診断は、患者さんの適切な治療方針の決定に極めて重要です。画像診断を極める道筋は決して平坦ではなく、一朝一夕で身につくことはありません。目の前の症例を大切に、画像の描出から読影、病理所見との紐付けを丁寧に行う毎日の努力が求められます。肝胆膵領域の画像と病理に興味を持っている特に若手の先生方は、是非研究会の会員となって頂き是非研究会にご参加ください。心からお待ちしています。