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O-03 IgG4関連疾患を背景に約4年半の経過で増大した膵腫瘍の1例

永井 一正1)、石井 健太郎1)、向井 俊太郎1)、本定 三季1)、殿塚 亮祐1)、田中 麗奈1)、土屋 貴愛1)、祖父尼 淳1)、山口  浩2)、糸井 隆夫1)
東京医科大学 臨床医学系 消化器内科学分野1)、東京医科大学 臨床医学系 人体病理学分野2)


症例は50 歳代男性。2013 年8 月、尿管周囲腫瘤のため当院泌尿器科を受診。血清IgG 4高値であったことから後腹膜線維症が疑われ、プレドニンが開始された。CT にて、膵尾部に濃染される約20mm 大の腫瘤影を認めたが、自己免疫性膵炎に伴う腫瘤形成性膵炎と判断され、主科でフォローの方針となった。その後、定期画像検査では明らかな変化を認めなかったが、2018 年1 月のCT にて膵尾部腫瘤増大を認めたため当科紹介となった。腫瘤は造影CT 上、約30mm 大と増大し、遅延性濃染を呈していた。MRI 上、T1WI で低信号、T 2WI、DWI で淡い高信号を呈していた。EUS では、境界明瞭、内部不均一な低エコー腫瘤として描出され、一部に石灰化を伴い、辺縁には無エコー域を認めた。腫瘤形成性膵炎が第一に疑われたが、膵癌との鑑別目的にEUS-FNA が施行された。病理組織では小型の均一な腫瘍細胞が観察され、免疫組織化学染色ではchromogranin A、synaptophysin が陽性であり、Neuroendocrine tumor (NET) と診断され、膵体尾部切除術が施行された。病理組織では、CT でみられた腫瘤に一致してNET の所見を認め、線維成分が豊富に介在していた。Ki-67 labeling index は2.9% で、NET G1 の診断となった。腫瘍周囲の膵実質は、特に腫瘤尾側で自己免疫性膵炎に特徴的な所見を強く認めた。IgG4 関連疾患に膵腫瘤が合併する報告は散見されるが、約4 年半の経過で形態変化を来し、画像・病理所見が示唆に富んだ1 例であり報告する。