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O-04 膵尾部に限局した若年性再発性膵炎の1例

関藤 剛1)、芹川 正浩1)、石井 康隆1)、壷井 智史1)、河村 良太1)、津島 健1)、中村 真也1)、平野 哲朗1)、池本 珠莉1)、村上 義昭2)、茶山 一彰1)
広島大学病院 消化器・代謝内科1)、広島大学病院 消化器外科2)


症例は10 歳代、男性。200X 年の9 月に急性膵炎を発症し、以後同年10 月、12 月にも繰り返し膵炎を発症した。いずれも膵尾部に限局した膵炎であり、保存的加療で軽快した。既往歴や家族歴、生活歴に特記事項は認めなかった。当科入院時には膵炎所見は改善しており、アミラーゼやリパーゼは正常値であった。腹部CT では膵尾部は限局性に萎縮し、被膜を有する20mm 大の嚢胞を認めた。MRCP では膵尾部の主膵管狭小および分枝膵管の拡張を認め、仮性嚢胞様の所見を認めた。EUS では膵尾部に主膵管狭窄を認め、同部位は境界不明瞭な低エコー領域として描出された。尾側膵には嚢胞状の拡張を認めた。頭部から体部は正常膵であった。膵管の限局性狭窄あるいはSPN などの腫瘍性病変も疑われたため、ERCP とEUS-FNA を施行した。ERP では体尾部の主膵管に短い狭窄と屈曲を認め、同部位から足側には嚢状に拡張した分枝膵管が造影された。低エコー領域のEUS-FNA では炎症細胞浸潤を認めるのみであった。腫瘍性病変は否定的と考えたが、膵管狭窄に起因した反復性膵炎と診断し脾温存膵体尾部切除術を施行した。病理組織学的所見では、膵尾部嚢胞は主膵管と連続性がなく、被覆上皮は胃底腺や幽門腺を含む陰窩上皮で覆われており、平滑筋層も有していた。これらは膵内に発生した異所性胃粘膜病変であり、後腹膜消化管重複症と診断した。