室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。


O-05 IPMNの経過観察中に発生したIntraductal tubulopapillary neoplasm(ITPN)の一症例

高田 良司1)、蘆田 玲子2)、清田 良介1)、今井 俊裕1)、阿部 友太朗1)、池澤 賢治1)、福武 伸康1)、高橋 秀典3)、長田 盛典4)、大川 和良1)
大阪国際がんセンター 肝胆膵内科1)、大阪国際がんセンター 消化器検診科2)、大阪国際がんセンター 消化器外科3)、大阪国際がんセンター 病理診断科4)


【症例】67 歳, 女性.【既往歴】61 歳時に左乳癌.【癌家族歴】なし.【現病歴】検診の腹部エコーで膵尾部の主膵管と交通する30㎜大の多房性嚢胞と3.5㎜大の主膵管拡張を認め, 2007 年に当院紹介となった.Intrapapillary mucinous neoplasm (IPMN) として半年毎に画像検査を行い著変なく経過していたが, 2018 年11 月に膵炎を発症した. その際の腹部エコーで膵尾部の嚢胞内部に充実像が指摘された. MRI ではT2 強調画像で嚢胞内部に13㎜大のdefect を認めDWI で拡散の低下を認めた. 造影CT では嚢胞内部に淡く造影される充実像を認めたが膵外浸潤所見は認めなかった. EUS で嚢胞内に16mm 大の充実性腫瘤を認め, 造影EUS で充実部はisovascular に染影され内部に異常血管を認めた. 腫瘍マーカーは全て正常範囲内であった.ERCP は患者が希望されなかった. Intraductal papillary mucinous carcinoma (IPMC) を強く疑い, 膵体尾部切除術および脾摘術を施行した. 術後経過は問題なく術後18 日目に退院した. 術後病理診断で膵嚢胞内部にみられた充実性腫瘍部位はIntraductal tubulopapillary neoplasm (ITPN), pTis pN0 pM0, pStage 0 (JPS 第7版)であり, 同嚢胞内部に主病変と連続するようにlow grade IPMN を認めた. 【結語】IPMN フォローアップ中に発生したITPN に対して治癒切除しえた貴重な症例を経験したので報告する.【討議して欲しい点】IPMNにITPN が合併することがあるのか?術前検査で鑑別が可能なのか?